いろいろな顔を持つ単語たち

2016 / 10 / 24 | 執筆者:Yukiko Mizuno

hellowinPhoto by Wiggle Butts Pet Photography

単語にはさまざまな顔(意味)があります。
見慣れた単語でも、専門性の高い文章では独特な意味を持つことも少なくありません。
例えば、

(1)sample
ビジネス系の文章では「試供品」、「サンプル」、「例」などの訳語が候補にあがります。
医学系の文章では「検体」、「試料」、「標本」などを意味することが多いです。

(2)control(名詞)
監督、管理、規制など、意味の幅が広くて悩ましい単語です。
科学系の文章(特に実験など)でこの言葉が出てきたら、まず考えられるのは
「対照」(参考)。「制御」、「調節」などを意味することもあります。

(3)significant
「重大な」「かなり大きい」などの意味を持つ言葉です。科学系の文章では
(statistically) significant という形で「(統計的に)有意な」という使われ方をします。

専門的な言葉が別の分野で使われる場合にも、訳語の選択に注意が必要です。
例えば、海外のNGOなどの文章で catalyst という言葉を目にします。

catalyst の元の意味は「触媒」。化学反応に際し、反応物質以外のもので、
それ自身は化学変化をうけず、しかも反応速度を変化させる物質を指します(広辞苑)。
比喩的には、触媒のような働きをする(変化をもたらしたり、促進したり、
何かを引き起こす)人やものを指すときに用いられます。

(例)
The project served as a catalyst for new local initiatives.
このプロジェクトは、地域の新たな取り組みのきっかけとなった。
We act as a catalyst, connecting different groups and organizations to bring change.
私たちは、さまざまな団体や組織を引き合わせ、変革が起きるのを促進する役割を担います。

(促進剤、起爆剤などの訳語がしっくりくる場合もあります。)

原文に出てくる単語の顔(意味)を見まちがえないようにするにはどうするか。
改めて考えてみると、月並みですが大事な作業に行き着きました。

  • 同じ分野、似た内容の文章を読んで、単語や表現の引き出しを増やす
  • 訳出後に、訳文だけを読者の視線で読んでみる(文脈にそぐわない訳語は、何となく居心地が悪そうな感じで目に付くものです)

いずれも地道な作業ですが、正確で読みやすい訳文にするために
大切なことだと思います。

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