DJSI質問票の変更点から、ESGのトレンドを読み取る

(Photo by Unseen Studio via Unsplash)

サステナビリティにおけるベンチマークとして世界的に広く認知されているダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(以下、DJSI)。その評価対象となる企業は、「ガバナンス/経済」、「環境」、「社会」の3つの側面に関する質問票への回答やその他の開示情報に基づいて評価されます。

DJSIの質問票は、先見的な視点で投資家に情報を提供するため、様々な国際基準やフレームワーク、各業種の動向を反映し、毎年更新されています。その変更点を追うことで、サステナビリティやESGのトレンドが見えてきます。

透明性向上に向けた要求の高まり

評価を行うS&Pグローバルの『CSA Methodology Updates for 2024』には、2024年度の質問票における変更点がまとめられています。

まず全体的な傾向として、回答の根拠として示す情報が一般に公開されているものでなければならないという要件が年々強化されています。
各質問は、公開情報を根拠として提示しなくてもスコアに影響しない「private(非公開)」、公開情報の提示は必須ではないがスコアに影響する「partially public(一部公開)」、公開情報の提示を必須とする「public(公開)」のいずれかに分類されますが、今年度もいくつかの質問が新たにpartially publicやpublicに変更となりました。

たとえば、「Safety Management System(安全管理システム)」に関する質問には、「Passenger Safety Disclosure(旅客安全情報開示)」の項目が統合されることになりました。それを受けて、旅客輸送の安全性に関する情報は一般の人々にとっても重要であるという観点から、回答の根拠として公開情報の提示が必須となっています(privateからpublicに移行)。

マルチステークホルダーという考え方が広まり、多種多様な方面に対して一層の説明責任を果たすことが企業には求められています。

他の評価基準や最新動向の反映

また他の評価基準と足並みをそろえたり、世界的な要請の高まりに対応したりするため、いくつかの質問の統合・追加といった見直しも行われています。

たとえば、水に関しては「Water Efficiency Management Programs(水効率管理プログラム)」に関する質問が追加され、水リスクと水関連規制などの項目が統合されました。これらの変更について、前出の『CSA Methodology Updates for 2024』には次のように明記されています。

The intent of the change is two-fold. Firstly, it aims at aligning the CSA with the CDP’s Water security questionnaire and secondly to simplify the questionnaire.
(変更の目的は二つある。まずCDPの水セキュリティ質問票と整合させること、もう一つは質問票を簡略化することである)

水リスクへの対応に関しては、CDP水セキュリティ質問書への回答を通じて情報開示をしている企業が多い点を踏まえ、二つの基準の要件を整合させ、結果的に報告を行う企業の負担を軽減することが意図されています。

また、「Sustainable Raw Materials(持続可能な原材料)」の項目も追加されました。これに関連して、原材料に関する方針・計画、植物/動物由来の原材料、プラスチックの原材料、金属の原材料について質問が設けられています。

その背景については、次のとおり説明されています。
The demand for raw materials is increasing exponentially due to population growth and the transition to a low-carbon economy. Simultaneously, there is a growing awareness of potential environmental and social impacts as well as business risks stemming from raw materials production, leading to greater scrutiny from the public, customers and investors.
(原材料に対する需要は、人口の増加や低炭素経済への移行により急激に増加している。同時に、原材料の生産に起因する環境・社会への潜在的なインパクトや事業リスクに対する認識も高まっており、一般の人々や消費者、投資家の監視の目は厳しくなっている)

プラスチックや鉱物資源の採掘をはじめとする原材料に関する問題は、社会的な関心が高く、企業に対しても積極的に問題解決に取り組むよう求める声が高まっています。そうした社会の要請に応えるための変更と言えそうです。

エコネットワークスでは、2015年よりDJSIの回答制作をご支援しています。
質問票における変更点を理解してESGのトレンドを押さえ、企業の取り組みを正しく伝えられるよう引き続きご支援してまいります。

※英文の訳はすべて筆者による試訳です。

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