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JANIC/THINK Lobby 「公正な社会の実現のための企業行動チェックリスト」の作成支援
「THINK Lobby」さまは、NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)のもとに設立された市民社会シンクタンクです。市民社会と企業が協力して公正な社会を実現することを目指し、「コーポレート・ソーシャル・ジャスティス(CSJ)プロジェクト」に2022年から取り組んでいます。
日本企業が多く拠点を置くアジアでは、独裁政権の台頭や、腐敗による政治危機・経済危機、新型コロナウイルスの蔓延など、さまざまな要因により格差や社会的不公正が拡大しています。企業活動を持続的に行っていくためには、あらゆるステークホルダーとの対話を通じ、リスクを低減させていくことが不可欠です。そこで、THINK Lobbyさまでは、企業活動の調査・分析、企業の行動指針の提示を通じ、企業と市民社会の対話が進むよう取り組んでいます。
背景
企業の実現可能性を留意した客観的な視点での指標検証を
THINK LobbyさまがCSJプロジェクトの一環として開発したのが、「公正な社会の実現に向けた対話のための企業行動チェックリスト」です。これは、ソーシャル・ジャスティスの観点で企業に期待される行動指針を示すと同時に、企業が自らの行動を確認できるものです。
エコネットワークスは当チェックリストの開発にあたり、客観的な立場で、チェックリストの評価基準の適切性の調査・検証プロセスをご支援させていただきました。
アプローチ
客観的な視点で評価基準を検証~企業にとって一歩・二歩先の姿を~
チェックリストは、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」と「SDG16:平和と公正をすべての人に」を軸に、平和・公正・人権尊重の実現に向けた「人権」「環境・気候変動」「コンプライアンス・公正な事業慣行」の3つの行動領域を対象としています。これらの行動領域で企業がどのようにコミットメントし、その実現に向けた取り組みがどの程度できているかを下記5つの評価項目に基づきチェックします。
- ①公正な社会の実現に向けたコミットメント
- ②コミットメント実現のための推進体制づくり
- ③コミットメント実現のための社内コミュニケーション
- ④コミットメント実現のためのサプライチェーンにおけるコミュニケーション
- ⑤コミットメント実現のためのステークホルダー、特にライツホルダーとの対話・エンゲージメント
日本では、昨今ようやく人権デューディリジェンス(DD)に関する議論が進んでいる中、「ソーシャル・ジャスティス」と企業行動の関連性についての認識はまだ一般的になっているとは言えません。企業の実際の取り組み状況を踏まえつつ、とりわけこれから人権DDなどの取り組みをさらに推進していきたい企業にとって、一歩・二歩先の姿を示すような評価基準となるよう意識し、調査・検証を進めました。
成果
第三者視点での検証により、より判断基準が明確に
企業の現状を踏まえ、第三者の立場から検証した結果、THINK Lobbyさまの当初の想定とは異なる発見があったとのことです。また、評価基準が明確になり、現在実施しているパイロット評価の参加企業にも違和感なく受け取ってもらえていると伺っています。今後、多くの企業・市民団体での活用が期待されます。
同プロジェクトでは、現在も引き続きパイロット評価に協力してくださる企業を募集しています。また2023年11月11日(土)にはチェックリストを活用した企業・市民団体との対話の促進について考えるイベントを実施予定です。
ご担当者様からの声
THINK Lobby CSJプロジェクトコーディネーター 土井 陽子様
サステナビリティ分野に知見があり、企業の取り組みの現状をよく理解しているエコネットワークスにお願いしたからこそ、企業の行動指針をよい落とし所で着地させることができました。企業の取り組みを後押ししていくにあたり必要になる中立的な視点が明確になり、正式なローンチに向けて自信がつきました。これからも折に触れてご支援をお願いしたいと考えております。