サービス業「お客様窓口における人権リスク・対応策の分析」支援

分析のイメージ

(Illustration by misterauto via AdobeStock)

背景

お客様窓口は、人権リスクに適切に対処できているか?

「ビジネスと人権」に対する機運が年々高まる中、多くの企業が人権デュー・ディリジェンスに取り組んでいます。その起点となる人権リスク分析を、既存の制度や仕組みを活用して行う場合は、これらが人権リスクに対処する上で有効に組み立てられているかを確認することが重要です。例えば、苦情処理メカニズムの一つに据えられることが多い「お客様窓口」では、顧客満足対応に軸が置かれる中で、人権の観点で適切に対処できているかどうか、検証できていないこともあります。 アミューズメントパーク経営などを行うあるサービス企業さまでは、お客様窓口における人権リスクやその対応内容を分析・検証したいというご要望がありました。エコネットワークス(ENW)は、過去数年にわたり同社の人権デュー・ディリジェンスを様々な側面でご支援してきた立場として、社内の仕組みを人権の観点から改善するため、本件をご支援することになりました。

アプローチ

国際法などを根拠にリスクを特定 対策の提言も

お客様窓口には、クレームや賛辞、問い合わせなど様々な声が寄せられるため、顧客満足の観点で対処すべき事項なのか、人権の観点で対処すべき事項なのかなど、判断が難しい事例も多くあります。また近年は、来場者や従業員の熱中症リスクなど気候変動にまつわる課題への人権観点での対応や、カスタマーハラスメントに対する社内対応者の人権保護といった様々なイシューもあります。 ENWは、過去1年間に寄せられた2万件近いお客様の意見を分析し、ビジネスと人権に関する指導原則や国際法を根拠に人権リスクがあると判断される項目を抽出し、4段階で評価しました。特にリスクが高い項目については重点的に分析を行い、窓口や現場での対応から窓口運用システムの改善まで様々な点について今後必要な対策を提言しています。 全体を通じて心がけているのは、クライアントご担当者さまを巻き込みながら、分析や評価、対策検討などのプロセスを進めることです。これにより、担当者・関係部門のキャパシティビルディングや実態に即した対策の実現につなげることを目指しています。

成果

継続的な分析を通じて、リスクの低減と実効性のある仕組みづくりへ

本分析を通じて、緊急に対応すべき課題はないことが確認されました。ただし、障害のあるお客様に関する潜在的な人権リスクなどが特定され、社内での問題意識の醸成やリスク低減策の検討が進められています。 また、分析の過程で人権リスクの社内評価基準が明確になり、これをお客様窓口の運用に適用し、現場にも共有していくことで、潜在的な人権リスクに対する予防的な対策が進んでいくことが期待されます。本分析も3年目に入り、対策の検討や実行がどこまで進んでいるかなど、人権リスクの低減や実効性のある仕組みづくりに向けて継続的なフォローを行っています。 クライアント企業さまからは、専門的な知見と根拠に基づく人権リスク分析を高く評価していただいています。今後も分析を起点として、多様なステークホルダーの人権尊重を実現できるよう、ご支援を続けていきます。  
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