Works 実績
【Case Study】電子書籍「ESDジャパンモデル」英語版
電子書籍「ESDジャパンモデル」英語版―世界に伝わる表現で、10年間の活動の集大成を発信
日本が提唱した国連「ESDの10年」の最終年となった2014年。10年間のESD活動の集大成としてまとめられた電子書籍「ESDジャパンモデル」の英語版制作をご支援しました。
2015年以降、ESDは各国での実施を促すグローバル・アクション・プログラム(GAP) へとつながっていきます。
クライアント:「ESDの10年・世界の祭典」推進フォーラムさま
期間:2014年6月〜11月
支援チーム:二口芳彗子
(メンバー)Steve Jensen、前田真砂子、水野由紀子ほか
成果物 :
日本の優れたESD実践を紹介する電子書籍「ESDジャパンモデル」
http://www.desd.jp/project/esd2014_download.php
Background 背景
日本の取り組みを、ジャパンモデルとして発信したい
「ESDの10年・地球市民会議」は、企業、地方自治体、NPOや市民ネットワークなどESD(Education for Sustainable Development、持続可能な開発に関する教育)に携わるさまざまなプレーヤーが一同に会する国際会議です。日本各地のESDを支え実践するメンバーが、世界のESD実践者とつながり、対話し、社会に向けて提言を行っていくための場として、2009年より毎年開催されてきました。
エコネットワークスでは初年度より、会議のパンフレット・発表資料の翻訳(英日・日英)、会議の内容を詳細に伝える報告書の英語版制作をご支援 。ESDに関わるテーマは、持続可能な開発に関わる内容すべてといってもよく、言語面でのサポートを通して、日本や世界における教育や市民活動の可能性について私たち自身も理解を深める貴重な機会でもありました。
そして2014年。国連「ESDの10年」の最終年に行われる、総仕上げとなる地球市民会議にあわせて、ESD活動の集大成を電子書籍にまとめ、日本語版と英語版をつくり世界に発信しようという企画が持ち上がりました。
エコネットワークスではこの電子書籍の翻訳 を担当するにあたり、
「日本でのESD活動を余すところなく伝えるものにしたい」
「読み物としても楽しめ、広く伝わっていくものに仕上げたい」
「日本固有の文化や表現を国際的な文脈でわかりやすく伝えたい」
という事務局さま のご要望に応えるべく、経験豊かな翻訳者によるチームを編成して臨みました。
Action アクション
国際的文脈を理解したうえで、想いやニュアンスを捉えて豊かに確実に表現する
電子書籍は以下の5つのテーマで構成されています。
・防災教育と気候変動教育とESD
・生物多様性とESD
・持続可能な生産と消費とESD
・歴史文化遺産とESD
・貧困撲滅と社会的公正とESD
各テーマはそれぞれ、日本各地の現場での工夫やアイディアを伝える事例集と、大きな視点からそれらの活動のつながり を掘り下げる対談からなります。
事務局 さまの思いに応え、さらには活動に取り組む皆さまの想いやパッションまで伝えていくためにはどうしたらよいか――対談では、会話の雰囲気や臨場感が出るよう一文を短く訳し、単語の選択にこだわる。事例集では、日本独自の状況や文化、歴史について説明を添える。これらのような方針を事前に決定し、翻訳チームで徹底して意識しました。
また今回のような140ページを超えるような大きなボリュームの翻訳で、特に気になるのは、スケジュール管理です。事前のお打ち合わせで、完成した日本語原稿から順次展開いただくフローを事務局さまと相談して構築し、準備を整えていきました。
ステップ:
1.入念な準備と初稿作成
5つのテーマにおける国内外の背景や最新の議論をまずはしっかりと理解。その上で、取り組みや発言に込められた想い、ニュアンス、背景にある文化や自然などの情報のつながりを捉えながら初校を作成しました。
2. フィードバックと推敲
用語の正確性はもちろん、想いやニュアンスを的確に表現するために、対談に登場するスピーカーや、各活動を実践するプレーヤーにコメントを付記してフィードバックを依頼。やりとりをしながら、よりよい表現に推敲していきます。
3. 読み手に徹底的に配慮した最終稿の仕上げ
最後はもう一度英語読者の視点に立って、誤解なく、スムーズに、より深く理解できるように最終稿を仕上げていきます。巻頭インタビューや対談は、それぞれのスピーカーの思いや哲学の「真意」を正しく伝えられているか、事例集は、限られたスペースの中で、正確にかつ豊かに内容を伝えているかを吟味しました。
Achievement 効果
わかりやすく、伝わる英語版が完成
このようなプロセスを通じて 完成した英文について、
「とてもよく練られた完璧な訳文で素晴らしいです。」(対談者)
「事実関係も正確に裏を取る部分に、汗をかいていただき、いつもながら感謝です。」(事務局)
という嬉しいお声をいただきました。
事務局さまには、執筆者の方々とのスケジュール調整でご苦労をおかけしましたが、進行も順調に進み、予定通り英語版を完成させることができ、感謝しています。
ESDの意義に共感し行動する人々の学びやメッセージが、電子書籍「ESDジャパンモデル」が、世界でたくさんの方々と共有され、2015年以降の世界での目標づくりや活動の欠かすことのできない要素として今後も広がっていく一助になることを願っています。
ENWの視点
ENWは英語版制作チームとして取り組みをサポートしました。
1. 最新の議論を踏まえて訳語を選定
国際的な文書や専門資料などで使用されている表現を踏まえ、訳語を選定。丁寧な申し送りで提案をお伝えし、最新の文脈に沿った英文に仕上げる。。
例)国連では防災=disaster risk reduction(DRR)と定義されていることを踏まえて、「防災教育・減災教育」をあわせて education for disaster risk reductionとすることをご提案。
2. ネイティブの視点から細やかにご提案
日本の文化や歴史に関する簡略な説明などの追加 や、よりスムーズな英文に仕上げるために、段落構成を変えることもご提案する。
例)東京都深川の木場で生まれた「筏の角乗り」「木遣り歌」 について、簡略な説明を追加。
3. レイアウトPDFの校正もサポート
改行位置やスタイルなど、英文として違和感のない仕上がり にする。
例)箇条書きのマークで「○(白抜きの丸)」は、ローマ字の「O(オー)」と混同しやすいので、「●」など混同されないマークへの変更をご提案。
担当者より
「全体を通じて、社会課題の最新議論と真意を的確に翻訳に反映しすることができました。
年を追うごとにより多くの実践者が横断的につながって、お互いから学び、さらにそれぞれの現場に戻って活動を発展させていく取り組みに、英語版制作チームの一員として参加する機会をいただき、感謝しています。」