Mighty Earth「日本の石炭火力とバイオマス」報告書 英日翻訳

米国ワシントンDCに本部を置くマイティ・アース(Mighty Earth)さまは、土地、海洋、気候を守るために活動する世界的なアドボカシー団体です。

背景

企業向けのキャペーンを展開し、気候変動を止めたい

マイティ・アースさまでは、日本企業に対してキャンペーンを展開してきました。その対象は石炭火力発電を推進する総合商社で、同社に対し、気候変動対策に関する方針の変更を求めていました。

2019年、マイティ・アースさまは、報告書『New Investigation: Sumitomo Corporation’s Dirty Energy Investments Highlight Japan’s Failure to Act on Climate』を発表。エコネットワークスは、日本語訳のご依頼をいただきました。

アプローチ

気候変動・エネルギー分野の翻訳経験を反映

気候変動・エネルギー分野の翻訳では、数々の専門用語が登場します。エコネットワークスは長年にわたって同分野の翻訳を経験していますので、その蓄積を存分に反映しました。また、最新の用語や、企業や専門機関の名称はすべて、信頼性の高い参照先で確認。マイティ・アースさまへの申し送りを徹底しました。

特に注意したのが、数値の扱いです。例えば、報告書本文で「XX%に増加」と書かれている箇所も、その出典となった文書を見ると「X.X倍になった」と書かれています。後者のほうが日本語でわかりやすいと判断すれば、その記載をご提案しました。

英語ネイティブの担当者の方とは、メールのやり取りはもちろん、申し送りも英語で実施。円滑なコミュニケーションを図りました。

発表された日本語版はこちらです。 『住友商事が引き起こす環境破壊 石炭とバイオマスが影を落とす日本の未来』

成果

企業は気候変動方針を変更

この報告書によれば、日本のエネルギー政策は、石炭火力発電所の新規開発につながっています。同時に、既設の発電所では、石炭とバイオマスを混合して燃焼させる「混焼」という手法が用いられ、非効率な発電所が運転寿命を伸ばすことを可能にしています。

さらに、これまで大きく取り上げられることが少なかった、バイオマス消費大国としての日本の姿も明らかにされました。日本のエネルギー政策が、希少な湿地など重要な生態系、そして世界の森林に破壊をもたらしている。その事実が詳細に報告されています。

報告書から2年が経過した2021年、この報告書の対象となった総合商社は気候変動方針を改めたそうです。2022年には、改定後の気候変動方針に付記されていた、「バングラディシュでの石炭火力発電所建設への参画の是非を検討する」との内容も撤回しています。また、同年3月に制定した森林経営方針、林産物調達方針には、森林破壊ゼロと人権尊重へのコミットメントが明記されています。

ご担当者からの声 
マイティ・アース(Mighty Earth) 日本プロジェクト統括マネージャー 
ロジャー・スミスさま

エコネットワークスの翻訳の正確さへのこだわりを高く評価しています。ある用語が他の資料でどのように訳されているかを示すコメントが翻訳に添えられていて、とても感激しました。私たちは、報告書が専門家に真剣に受け止められることを望んでおり、そのためには正確な言葉を使うことが重要です。また、日本政府の資料で英訳と日本語原文が一致しない場合の申し送りもあり、ファクトチェックにも協力してくれました。この報告書以降、他の翻訳でも協力いただいており、気候変動に取り組む他の海外NGOにも紹介しています。

更新日:2022/4/25

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