メーカー「アジア複数国におけるDEI実態調査」

(Photo by metamorworks via AdobeStock)

背景

本社DEI方針を、各国の現状に応じた施策に落とし込みたい

グローバル企業においては、多様な民族、文化、価値観、ジェンダーや障害などを踏まえた上で、人権・DEIの戦略および施策を展開することが欠かせません。あるメーカーさまは人権・DEI方針を策定し、これに基づき世界各地で施策を進める段階にありました。

その中で、アジア統括本部(HQ)では、目指すべき本社方針と、管轄する複数国の実態との間にギャップがあるため、どのように各地に方針を落とし込み、施策を進めていくべきか悩まれていました。以前、エコネットワークス(ENW)が日本本社の方針翻訳を担った際、グローバル視点で方針そのものへのアドバイスも行っていたことから、アジアHQより進め方のご相談を受けました。

アプローチ

実態を的確に把握し、全体像を俯瞰する

ENWでは、人権・DEI方針のローカライズに向けて、各国の実態に関するリサーチや専門家へのヒアリング、啓発教材の作成など、段階に応じたアプローチをご提案しました。その最初のステップとして、今回は各国のDEI実態調査を行いました。

ポイントとなったのは、調査対象のグルーピングと、実態を的確に把握するための調査項目の選定です。管轄対象の国々は、DEIの浸透段階が様々であることから、ジェンダーギャップ指数や国際協定への批准状況など客観的な指標を用いて、3つのグループに分類しました。その上で、人権・DEI領域の知見を活かし、実態を把握する上で重要な調査項目を選定。DEIに関連する法規制や政策、ジェンダーや障害などに関連するクオータ制、企業に課される義務、企業イニシアチブなどに関して、デスクトップリサーチを行いました。国ごとの調査結果とともに、背景にある社会的要因もしっかり踏まえた国別サマリーを、英語のレポートにまとめました。

レポート作成にあたっては、共通のフレームワーク・フォーマットで情報を整理することで、各国およびアジア全体でどこに課題があるのかなど、全体像を俯瞰できるよう工夫しました。

成果

調査結果を基に、各国拠点との対話へ

本調査について、クライアントさまからは「人権・DEI領域の知見に基づいた的確な調査と、簡潔で分かりやすいサマリーが参考になった」とのお声をいただきました。調査レポートは、管轄地域の国々の支社トップに共有されるとともに、アジアHQと各支社との今後に向けた対話・議論のベースとして活用されました。

人権・DEIにまつわる課題や制度・政策などは、国によって非常に多様です。その地域において何がポイント・推進力になるかを見極める上で、まずしっかり実態を把握することが重要になります。本調査が、実効性のある施策・取り組みにつながっていくことを願っています。
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