サーキュラーエコノミーの視点で、企業の取り組みと開示の枠組みを整理する

2026 / 6 / 9 | カテゴリ: | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

資源や製品をできるだけ長く使い続ける経済モデルとして、サーキュラーエコノミーは現在、国際的な主流となっています。企業の情報開示では、「循環経済」とする場合もあれば、「循環型社会」と近い意味で扱う場合もあります。

しかし、この2つは混同されやすく、文脈が曖昧になりがちです。6月5日に公表された最新の「環境・循環型社会・生物多様性白書」を手がかりに、今回の記事では両者の共通点と違いを整理し、企業がどの文脈で使い分けると説明しやすいかを考えます。

循環経済は、循環型社会を形成するアプローチである

最新版の白書では、第1部のテーマを「循環経済(サーキュラーエコノミー)で日本列島を強く豊かに」とし、循環型社会を形づくる要素として循環経済を位置付けています。

第2部第3章「循環型社会の形成」でも、政府はバリューチェーン全体の資源効率性と循環性を高める循環経済アプローチを通じて、循環型社会の形成を促進するとしています。

*出典:「令和8年版環境・循環型社会・生物多様性白書」(2026年6月、環境省)の第1部第1章「循環経済への移行加速化に向けた これまでの経緯と背景 」

両者に共通する点と異なる点

どちらも、製品のライフサイクルに投入された一次資源(自然資源)や再生資源を、資源や製品として使い続ける「資源循環」が核となっています。一方で、以下の点で異なっています。

推進主体の違い

「循環型社会」は、日本社会のあるべき姿として政府が制度や施策で推進する社会モデルです。一方、「循環経済」は、企業が技術革新や製品・サービスを通じて環境価値と経済価値の両立を目指すビジネスモデルです。

言葉の発祥の違い

「循環型社会」は、2000年制定の「循環型社会形成推進基本法」で提唱された日本発の考え方で、資源循環に加え、廃棄物の発生抑制や環境負荷の低減を重視します。政府訳は現在「sound material-cycle society」ですが、企業開示では「recycling-oriented society」が多く使われています。

一方、「循環経済(サーキュラーエコノミー)」は、英語の「circular economy」を訳した言葉です。2015年にエレン・マッカーサー財団がサーキュラーエコノミーへの移行の測定・評価ツールを公開したことを機に普及し、現在では国際的に広く定着した表現になっています。

企業の取り組みと開示の整理

企業の情報開示では、技術革新や製品・サービスについては「循環経済」の文脈で整理すると、成長機会や価値創出との関係を示しやすくなります。一方、廃棄物の発生抑制や環境負荷の低減は、「循環型社会」の形成に資する取り組みとして位置付けると、政策文脈との整合性を示しやすくなります。

「循環経済」と「循環型社会」は重なり合う部分を持ちながらも、企業の情報開示では果たす役割が異なります。両者の違いを踏まえて使い分けることで、事業戦略としての方向性と社会的責任としての取り組みを整理して伝えやすくなり、開示全体の説得力も高まることが期待されます。

(Thumbnail photo by Rafael Garcin via Unsplash)


エコネットワークス(ENW)では、サーキュラーエコノミーに関する社内啓発や勉強会・ワークショップの企画・運営に向けた支援を行っています。ご関心がありましたらお気軽にご相談ください。
支援事例:
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