equal、equity、fairの違いとは? 人権に関する3つの概念を整理

(Photo by Elena Mozhvilo via Unsplash)

主に人権に関する文書で見かけるequal、equity、fairという表現。日本語では、どれも「公平」や「平等」と訳されることがありますが、英語ではこの三語に明確な違いがあります。特に人権の文脈では、これらの違いを押さえておくことが非常に重要です。

「条件の平等」か「機会の公平」か

まず、equalとequityの違いを例文で見てみましょう。

equal access to education
equitable access to education

どちらも「教育への公平なアクセス」のように訳せそうですが、この二つの英文には、どのような意味の違いがあるのでしょうか。

equalとequitableそれぞれについて、英英辞典を引いてみると以下のように書かれています:

equal
of the same measure, quantity, amount, or number as another
(試訳:他のものと比べて同じ程度・量・数であること)

equitable
fair in a way that accounts for and attempts to offset disparities in the way people of different races, genders, etc. are treated
(試訳:人種や性別などによる扱いの違いを考慮し、その格差を是正しようとする形での公正さ)

上記の定義を踏まえると、例えば日本では、小学校と中学校の教育を受ける権利がすべての子どもに保障されていますが、このような仕組みはequal access to educationの典型例といえます。

しかし、現代社会ではその構造によって性別や障害の有無、人種などによる格差が生じてしまっているため、すべての人に同じ条件が与えられたとしても、不平等や不公平が解消されることにはなりません。そのため、教育の現場では、例えば障害のある生徒や日本語を母国語としない生徒に対して支援を行うことで、誰もが実質的に等しく学習機会を得られるよう配慮されています。こうした取り組みは、equitable access to educationの例といえます。

このように、equalは誰に対しても同じ条件を与える「条件の平等」を意味するのに対し、equityは格差をなくして誰もが同じ機会を得られるようにする「機会の公平」を意味します。

人権に関する文脈では、こうした違いを踏まえてequityの考え方が重視されており、翻訳においても原文の意図が正しく伝わるような工夫が求められます。

「同じかどうか」VS「正しいかどうか」

equalとequityは、それぞれ条件や機会が「同じかどうか」を表す表現でした。
その点を踏まえて、やはり同じような意味で捉えられがちなfairについて例文を見てみましょう。

fair treatment of students

「生徒の公正な扱い」といった訳が考えられますが、具体的には、特定の生徒をひいきしたり好き嫌いで判断したりせず、ルールに則って公正に扱うことを意味します。

英英辞典でfairを引いてみると、次のようにあります:

fair
・free from self-interest, prejudice, or favoritism(試訳:私利や偏見、えこひいきがない)
・conforming to what is just, good, or proper(試訳:正しい、善い、適切とされる基準にかなっている)
・conforming with the established rules(試訳:既定のルールに従っている)

これらの定義から分かるように、fairは「扱いや評価に偏りがなく、正しく適切であること」を表す言葉です。前述のequalやequityが条件や機会が「同じかどうか」に関わる表現であるのに対し、fairは「正しいかどうか」に焦点を当てた表現だといえます。

今回見てきたように、equal、equity、fairには明確な違いがありますが、日本語では同じ「公平」や「平等」という言葉で表現されることが少なくありません。翻訳では、このような意味の違いを踏まえた上で、まずは原文の意図を正しく読み取ることが大切です。そして、その意図を損なわず、かつ日本語として自然な形でその違いをどう表現するか――そこが翻訳の品質を左右する重要なポイントです。

※英文の訳は、すべて筆者による試訳です。


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