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グローバルリスク報告書2026年版より 適切なタイミングで有効な対策を

(Photo by GrantMuller via pixabay)
世界経済フォーラムが毎年発表する『Global Risks Report(グローバルリスク報告書)』の最新版(2026年版)が1月14日に公開されました(プレスリリースはこちら[英・日])。
短期リスクのトップは「地経学上の対立」
現在(2026年)および短期(今後2年間)のリスクで首位となったのは「地経学上の対立(Geoeconomic confrontation)」です。報告書ではこのリスクを以下のように定義しています。
Deployment of economic levers by global or regional powers to reshape economic interactions between nations, restricting goods, knowledge, services or technology with the intent of building self-sufficiency, constraining geopolitical rivals and/or consolidating spheres of influence. Includes, but is not limited to: currency measures; investment controls; sanctions; state aid and subsidies; and trade controls.
試訳:世界または地域における大国が、国家間の経済的な相互関係を再構築するために経済的手段を活用すること。物や知識、サービスや技術の規制を通して、自給体制の構築、地政学的ライバルの抑制、または勢力範囲の強化を目指す。手段としては通貨政策、投資規制、制裁措置、国による補助金や助成金、貿易管理などがあるが、この限りではない。
いわゆるトランプ関税や、中国によるレアアース輸出規制などがこの代表例になります。
地経学上の対立が環境関連リスクに及ぼす影響
環境関連リスクの分析に目を向けると、短期リスクの中での順位が下がっているのが気になります。例えば、昨年2位だった「異常気象」は4位に、6位だった「環境汚染」は9位になっています。ほかにも、「地球システムの危機的変化」、「生物多様性の喪失と生態系の崩壊」といったリスクが順位を下げました。異常気象だけを見ても、近年の夏の異常高温、大規模山林火災や洪水被害の多発など、短期リスクが低くなっている印象は受けませんが、地経学上の対立や社会の二極化など他のリスクが深刻化したことが順位に影響しています。こうした変化は、政府予算や政策対応を経済・安全保障に偏らせ、環境対策を遅らせかねません。
長期リスクの分析では、環境関連リスクは引き続き上位にあります。しかし地球規模の環境問題は対策に時間を要し、効果が現れるまでに時間がかかります。決して「長期」のリスクとして後回しにできるものではありません。他分野で対応せざるを得ない短期リスクが山積みであっても、環境課題への対策を継続させていかなければ、将来の被害が拡大する危険は高まるばかりです。
そして気がかりなのは、「地経学上の対立」が国際協調の基盤を揺るがしかねない点です。環境課題は一国で対処できないものが多く、各国が目標を共有し、その実現に向けた対策を進める国際的な取り組みが不可欠です。しかし、閉鎖的で一国主義的な傾向が強まり、国家間の分断が進んで、こうした協力の前提となる信頼関係が損なわれれば、多国間の枠組みは機能しません。
世界経済フォーラムのサディア・ザヒディ氏は、グローバルリスク報告書は早期警戒システムの働きをするものだと述べています。 この警鐘を単に未来を予測するためのものとして無駄にせず、行動につなげる必要があります。各リスクの重要度や相互関係、時間軸をきちんと把握し、適切なタイミングで有効な対策を実施できるかが問われています。
※英文の訳はすべて筆者による試訳です。
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