GRI-CDPマッピングを活用し、 一貫した環境データを効率よく報告する

(Photo by Jakub Żerdzicki via Unsplash)

GRI (Global Reporting Initiative)と CDP は2025年10月、CDP の 2025 年企業質問書とGRIの項目別スタンダード「GRI 102:気候変動」および「GRI 103:エネルギー」をマッピングした新たな資料を公開しました。このマッピングは、世界中の組織による環境報告の一貫性と効率性の向上を実現することを目的としています。

2025年6月に英語版、10~12月に他言語版が公表されたGRI 102、GRI 103は、2027年1月からの報告に関して発効となるものの、企業が今年発行する報告内容を検討する際に参照することで今後に向けて役立つことは確実です。マッピングされた資料の「はじめに(Introduction)」にある概要に基づいて、活用方法について考えます。

押さえておきたい2つの基準の「違い」とデータの活用方法

マッピングにおける注意事項として、以下の記載があります。

A key difference between CDP and GRI’s approach is that the CDP questionnaire has a broader focus including dependencies, impacts, risks, and opportunities, whereas GRI reporting focuses on identifying and managing the most significant impacts of the organization in particular.
CDPとGRIのアプローチにおける重要な相違点は、CDPの質問書が(環境への)依存度、影響、リスクと機会などより広範なデータに焦点を当てているのに対し、GRIスタンダードに基づく報告は、特に組織がもたらす最も著しいインパクトの特定と管理に重点を置いている点です。(カッコ部分は筆者による補足)

その顕著な例として、気候変動の緩和に向けた移行計画に関するGRIの開示事項102-1や気候変動適応計画に関する開示事項102-2を挙げています。例えば、GRI 102-2-aでは、気候関連リスクと機会に伴う人々と環境へのインパクト、および適応計画策定においてそれらをどのように考慮したかが対象となります。一方、対応するCDPの質問では、環境への依存度、影響、リスク・機会間の相互関係、ならびに特定された環境リスクと機会が扱われている、と述べています。

また、 今回のマッピング作業において、GRI 102-9開示事項「バリューチェーンにおける温室効果ガス除去」はCDPとの「対応なし」と示されているが、CDPではセクター別および回答要請機関からの質問において温室効果ガス除去量をカバーしている、とあります。除去量のデータを開示する場合は、別途そちらのCDP質問書との一貫性を確認する必要があります。

2つの基準のアプローチと対象範囲が違う場合は、マッピングシートの一致度(Correspondence)の列に「部分的(Partial)」と記載され、一致度評価(Correspondence Qualifier)の列に「アプローチと対象範囲に違いあり(Difference in approach/scope)」とあるので、個別に検討が必要と思われます。

そのほか、一致度が「完全一致(Full)」の事項は共通データを利用でき、一致度が「部分的(Partial)」、一致度評価が「追加的なGRI要求事項(Additional GRI requirement)」となっている事項は、2つの基準の違いが説明されています。したがって、企業は対応する2025年のCDP質問書への回答をベースに、GRIの要求事項への対応を整備できます。

サステナビリティ情報開示を統合する動き 変化の波に乗る

2021年にSustainability Frontlineの記事でサステナビリティ情報開示の統合に向けた動きを取り上げ、2024年にはGRIとTNFDの相互運用マップについてこのページの記事で取り上げました。調べたところ、CDPの「開示基準やフレームワークとの整合」に関するページで、GRIのほかにIFRS S2、ESRS、TNFD、TCFD*とのマッピング資料が示されており、着実に統合が進んでいることが伺えます。この変化の波に乗って、自社の情報開示のあり方を整理し、改善していくことが求められます。

* IFRS S2号 気候関連開示、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

エコネットワークスは、昨年発行されたGRI 102、103を含め、2022年からGRIスタンダード日本語版の制作を担当しています。また、CDP質問書への英語での回答をご支援したり、IFRS、TCFD、TNFDのフレームワークでの報告の英訳をご支援する機会もいただいています。すべての経験や知見を有効に活用し、データの一貫性に注意を払いながら各フレームワークの表現を採用していくことをご提案していきます。

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