affordabilityとaccessibilityの違いから社会を見つめる

2025 / 9 / 1 | カテゴリー: | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

(Photo by StockSnap via Pixabay)

「利用しやすさ」を意味するaffordabilityとaccessibility。しかし、それぞれの言葉の奥にあるニュアンスには違いがあり、文脈に応じて適切に使い分ける/訳し分ける必要があります。

意味の違いを捉え、適切に区別する

まず、それぞれのワードの定義をいくつか引用してご紹介します。

affordable


● able to be bought or rented by people who do not earn a lot of money
(試訳:収入が多くない人でも購入したり借りたりできる)

Cambridgeより引用]

● If something is affordable, most people have enough money to buy it.
(試訳:affordableとは、大半の人が買えるだけの金額であることを意味する)

Collinsより引用]


どちらの定義にもmoneyが含まれており、affordabilityは経済的に無理なく利用できる状態を指すことが分かります。

accessible


● capable of being reached
(試訳:到達可能な)

Merrium-websterより引用]

● If a place or building is accessible to people, it is easy for them to reach it or get into it. If an object is accessible, it is easy to reach.
(試訳:場所や建物がaccessibleであるとは、そこに行きやすい、あるいは入りやすいという意味。物がaccessibleであるとは、それに手が届きやすいという意味)

● able to be entered or used by everyone, including people who use a wheelchair, people who are blind, etc.
(試訳:車椅子を使う人や視覚障害のある人などを含め、誰もが入ったり利用したりできる)

Collinsより引用]


こちらは、地理的・物理的・制度的など制約の種類にかかわらず、手に入る/利用できる状態を意味します。

身近な場面で考えると、例えば病院に行くときに、大半の人が無理なく支払える料金で診察を受けられればaffordableだといえますが、その病院が家から遠く通う手段がなければaccessibleとはいえません。教育が無償で提供されていれば、それは誰にとってもaffordableだといえますが、視覚や聴覚に障害があり、板書や教科書が読めなかったり、先生の声が聞こえなかったりする場合、すべての人にとってaccessibleとはいえません。

翻訳をする際には、文脈に応じて、例えば「手頃な価格で利用できる」や「使いやすい」など違いが伝わりやすい表現にする工夫が必要です。

両方そろってこそ公平な社会

affordabilityとaccessibility。似たようなニュアンスで、同じような文脈で使われることも多い表現ですが、その違いに目を向けると、この二つは別物であり両方そろってはじめて「誰もが公平に利用できる状態」が実現することが分かります。

翻訳者として正確かつ適切に区別して表現するのはもちろん、日常生活における公平性や利便性を考える上でもこの二つの視点を意識することが大切だと考えます。

※英文の訳は、すべて筆者による試訳です。

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