英国で進むEV政策 普及を可視化するグリーンナンバープレート

2025 / 4 / 30 | カテゴリー: | 執筆者:EcoNetworks Editor

私が住む町、英国スコットランドのダンディー市は、早くから電気自動車(EV)の普及促進に力を入れてきた自治体です。英国で日産リーフがデビューし本格的にEV販売が始まった2011年に、早くも自治体業務用車にEVを導入、充電施設の開設を進めました。

自治体の業務用EV(Photo by Yuno Dinnie)

私は2017年末にダンディーに引っ越したのですが、それまで住んでいたロンドンと比べて、日産リーフがたくさん走っている町だなあという印象を受けました。タクシー会社に対するEV導入奨励策の効果でタクシーのEV化が進んでおり、市内バスのEV転換に加え、長距離EVバスのハブにもなっています。EVゴミ収集車の導入の際には、各車両の愛称を公募するキャンペーンが話題になりました。

電気にちなんだ名前が楽しいEVゴミ収集車(Photo by Yuno Dinnie)

英国政府のゼロエミッション車政策

英国が2021年に気候サミットCOP26を主催することが決まると、英国政府はネットゼロ政策の柱の一つとして、内燃エンジン(ICE)自動車の新車販売禁止を2035年から2030年に前倒ししました。その後、移行を確実に進めるため、2024年にはゼロエミッション車(ZEV)販売割合の義務付けを法制化しました。これは自動車メーカーに対し、新車販売台数のうちZEVの最低比率を規定するもので、2024年は原則22%、その後段階的に引き上げられ、2035年には100%に達する予定です。

ZEV義務化対応のため、自動車メーカー各社が競ってEVのラインアップ拡大を進めており、数年前に比べて選択肢は大きく広がっています。2024年の新車販売数のうち、EVは比率で20%をやや下回ったものの、販売台数は過去最高を記録しました。ICE車に比べ高価だったEVも、安価ブランドの参入や低価格帯モデルの導入で手が届きやすくなってきているようで、EVの町ダンディーはもちろん、他の町を歩いていてもEVを目にすることが増えてきました。

 グリーンナンバープレート

車のモデルに詳しいわけではない私でも、町を走るEVが増えていると分かるのは、2020年末に導入されたグリーンナンバープレート制度のおかげです。ナンバープレートの左端に緑色のラインが入っているデザインで、目を引きます。そして、このグリーンナンバープレートを付けることができるのはZEVに限定されており、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車には使用できません。

グリーンナンバープレートの使用は義務付けられていませんが、新車の場合、ディーラーが販売の際に付けるのが普通になっているようです。また、制度導入前に登録されたZEVも、有料になりますがグリーンナンバープレートに交換することができます。

制度の導入から4年半が経ち、グリーンナンバープレートの付いた車両が中古車ディーラーに並ぶことも増えてきました。中古市場ではEVの方が類似のICE車より安い場合も少なくないそうで、町で見かけるEVの数は今後さらに増えていくと期待できそうです。グリーンナンバープレートによってEVが可視化されることで、「こんなに増えているなら私も次の車はEVにしようか」と思うドライバーも増え、普及拡大に拍車が掛かることを願っています。

中古EVが並ぶディーラー(Photo by Yuno Dinnie)

(杉本 優/翻訳者)

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