太陽光発電は本当にサステナブル?

2024 / 12 / 2 | カテゴリー: | 執筆者:Yasuko Sato

(Photo by Samuel Faber via Pixabay)

2023年1月のブログ記事「それって本当にsustainable?:パート1 sustainableを避けるべき理由」と「それって本当にsustainable?:パート2 サステナビリティ関連表現ガイド」、皆さんはお読みになりましたか? 今日はこれに関連して、太陽光パネルについて考察してみたいと思います。

太陽光パネルに持っていた違和感

一般的に、太陽光エネルギーはサステナブル(持続可能)なエネルギー源だと考えられています。ですが、山が削られ広大な敷地に太陽光パネルが敷き詰められていくのを目の当たりにするとき、農地が太陽光パネルに置き換わるとき、あるいは山から見下ろす一面緑の景色の中に黒色の太陽光パネルが点在しているのを見るとき、私はいつも胸が痛み、これが本当に持続可能で、環境に良い技術なのだろうか? これをさらに拡大し続けて大丈夫なのだろうか? という疑問と不安を拭うことができません。

「太陽光発電はCO2を排出しない」点で環境に良いのであって、「太陽光=サステナブル」とは単純には言えないはずだと、上記のブログを読んで確信しました。

太陽光発電のマイナス面が軽視されていないか

社会が太陽光エネルギー推進に向かって進む中、そこに疑問を投げかけるのは、少なからず勇気がいります。私はもちろん再生可能エネルギーに反対しているわけではありません。でも、太陽光パネルが生態系や環境に与える影響だけを考えても、CO2削減のためには多少の犠牲は仕方ないといって片付けられる問題ではないのではないか、と思うのです。今のような形で盲目的に推進していけば、再生可能エネルギー比率が100%になる頃には、私たちは別の大きな問題を抱えることになりかねません。

単純化せず、個々に判断する必要性

どんな解決策にも負の側面があります。再生可能エネルギーを100%にすれば問題が解決すると考えるのは、問題を単純化しすぎているように思うのです。太陽光パネルがどのように造られ、使われ、処分されるのか、ライフサイクル全体を通して個々のケースを見ていくことで初めて、その太陽光発電設備が環境や社会にとってプラスなのか、マイナスなのかを判断することができるのではないかと考えています。

「再生可能エネルギー電力を選ぶ」「太陽光発電の割合を高める」という大まかな事実や数字だけに着目するだけでは全く不十分で、その背景まで見ていく丁寧さが必要ではないでしょうか。

最優先の対応策は「回避」

また、別のブログ記事「ミティゲーション・ヒエラルキー 生物多様性を保全するための考え方によれば、生物多様性において「重要なのは、インパクトを回避することを最優先に考える」ことです。これをエネルギー問題に置き換えると、最優先で力を入れるべきは「回避」=絶対的なエネルギー使用量を減らすこと、ではないでしょうか。常に成長することを求められる企業にとって、これは難しい選択です。それでも多くの企業が、太陽光エネルギーであることを免罪符とせず、個々に考察した上で、真の最善策を模索するようになることを願っています。

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