データ・AI活用の現状と課題 キャップジェミニの報告書より

2024 / 11 / 11 | カテゴリー: | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

(Photo by Alexander Sinn via Unsplash)

データやAIの活用は、企業がビジネスを進める上で重要な取り組みです。
500人のテクノロジー担当幹部と500人の経営幹部を対象に行った調査の結果を基にした報告書『The data-powered enterprise: Why organizations must strengthen their data mastery』には、企業によるデータやAIの活用の現状や今後に向けた課題がまとめられています。

生成AI導入の現状と課題

なかでも生成AIは、これまでにない方法でデータから価値を引き出せる可能性があると期待されています。実際、同報告書によると、生成AI導入に向けたパイロット事業や概念実証(PoC)を実施したという企業は6割にのぼります。

一方で、本格的な導入には至っておらず、生成AIを活用していくための技術面以外の基盤(文化、倫理ガイドライン、ガバナンス、法規制の枠組みなど)が十分整備されていないことが課題の一つと指摘されています。

AI活用の本来の目的

生成AIの本格導入に向けて取り組むべきこととして、報告書は様々なガイドラインや仕組みの整備のほか、信頼できるAI(trustworthy AI)の開発を挙げています。欧州委員会が提唱した「信頼できるAIの原則」では、lawful(法令遵守)、ethical(倫理性)、robust(堅牢性)の3つが信頼できるAIの要件とされています。

報告書には次のような一文があり、「信頼できるAIの原則」に則る必要性を示唆しています。
Teams involved in AI systems design and implementation, would need to think beyond accuracy, and adopt a more multi-faceted approach including transparency, ethics, and fairness.
(試訳:AIのシステム設計や実践に携わる人々は、その精度だけでなく、透明性、倫理性、公平性などを含むより多角的なアプローチを検討する必要がある)

AIをうまく活用すれば、企業は競争優位性を高められ、財務パフォーマンスの向上も期待できます。しかし、技術面以外の基盤整備を本格的に進めようとしている今、より良い社会のためのAI導入であることを改めて認識し、人や環境に与える影響を慎重に見極めていくことが求められます。

※引用文の試訳はすべて筆者によるものです。

このエントリーをはてなブックマークに追加