Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
アースオーバーシュートデー 自然資源の消費への意識を高める

(Photo by rolandmey via Pixabay)
私たち人間はあらゆる自然資源を消費しながら生活していますが、地球が自然資源を再生する能力には限りがあります。国際環境シンクタンク グローバル・フットプリント・ネットワークは、一年で再生できる自然資源の量を人間が使い切ってしまう日をEarth Overshoot Dayとして毎年算出しています。2024年のアースオーバーシュートデーは、8月1日と発表されました。
適正な状態からの逸脱を示すovershoot
こちらのプレスリリースによると、1971年のEarth Overshoot Dayは12月末となっており、地球が一年で供給できる資源の範囲内でおおよそ生活できていたことが分かります。一方今年は、一年分の資源を8月1日で使い尽くし、12月までの残りの期間は自然資本を切り崩しながら生活していかなければならないということになります。
overshootは、辞書では次のように定義されています。
● to go further than the end of or past something, without intending to (Cambridge Dictionaryより引用)
(試訳)意図せず、終着点を通り過ぎたり、何かを超過したりすること
● If you overshoot a place that you want to get to, you go past it by mistake. (Collins Dictionaryより引用)
(試訳)目指している場所を誤って通り過ぎること
具体的には、航空機が停止できずに滑走路を飛び出してしまう状態や、定常値を超えて上に大きく振れた波形を表したり、最近では気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書でも、パリ協定の1.5℃目標を超えて温暖化が進むことを示す表現としてovershootが用いられています。いずれにしても、適正な状態を大きく逸脱した事態を示す言葉といえます。
限りある資源の消費に対する意識を高める
overshootの定義でもうひとつ注目したい点は、without intending toやby mistakeといったニュアンスです。
Earth Overshoot Dayの文脈で考えると、限りある資源を使い続けた結果、想定外に/誤ってしきい値を超えてしまった、という意味合いになりますが、実際のところ、自然資本の「赤字」状態は長年拡大し続けています。その点を考えると、私たちが暮らしていく中でどのように自然資源を消費しているのかを今よりも強く意識していく必要がありそうです。
Earth Overshoot Dayのホームページには、その日を遅らせるために私たちにもできることが紹介されています。参考にしつつ、自然資源を日々消費しながら生活していることを心に留めておきたいと思います。
※試訳はすべて筆者によるものです。