重みのある表現で、メッセージに抑揚を

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エコネットワークスで制作をご支援する機会の多い企業のレポートやウェブサイトには、通常社長やCEOをはじめとする経営陣からのメッセージが掲載されています。

会社の現状や業績、また今後の計画や目標について総括して述べると同時に、対象読者であるステークホルダーに支援や協力といった行動を呼びかけることも、そこに含まれる重要な要素です。

情報の性質に合わせて伝え方を変える

目標に対する進捗状況や成果、今後に向けた具体的な計画や目標については、社の理念やパーパス、長期的なビジョンなどとの関連が見える形で伝えると説得力が増します。そのため、表現面でも一貫性を意識しつつ、簡潔かつ明快に表現するとよい要素です。マップや表などをうまく利用して視覚的に伝えることも効果的でしょう。

一方、企業の価値観やビジョンを語ったり、ステークホルダーに呼びかけたりする場面では、適宜印象的な表現を使うことで重みを持たせることができます。

淡々と明快に語る部分と、読者の心理に働きかけて力強く訴える部分とを、適切に組み込んでメッセージとしてまとめることが求められます。

印象的な表現を織り交ぜて抑揚をつける(事例紹介)

ここからは、実際にエコネットワークスでご提案したメッセージの英訳の中で、読者により強く訴えかけることを目指して考えた表現の例をご紹介します。

<例1>
This is the spirit that underpins our philosophy.
(これが、私たちの理念の根底にある考え方です)

underpinには、to provide the starting point from which something can develop (発展を遂げるための出発点となる)という意味があり、この文脈にぴったり当てはまります。
underpinの代わりとなりうる表現としてunderlieも思い浮かびますが、この二つの違いはunder-の後のpinとlieに現れています。つまり、前者は「揺るぎない支えとなるもの」、後者は「何かの下に見えない状態で横たわるもの」を言い表すのにそれぞれ適していて、<例1>のケースではunderpinの方がよりふさわしいと考え、ご提案しました。

<例2>
We will build up strengths to get leverage for future value creation.
(強みを積み上げ、その力で将来価値を創造する)

ここで使われているleverageは、influence that you can use to make people do what you want (望む形に人を動かすために利用できる影響力)という意味です。この定義からも分かるとおり、まさに行動を促す表現の代表例といえます。

<例2>では、仮にto get leverageの部分を削除しても、英文としては成立し、似たような意味を伝えることは可能です。あえて上記の表現にすることで、結集させた力が未来を変えるイメージが伝わりやすくなると考えました。

ご紹介したような表現は、基本的には多用するものではなく、ここぞというところで使用することが重要です。そうすることで、全体として抑揚のある、訴える力の強いメッセージになると考えています。

メッセージに限らず、企業の情報発信のご支援をする際には、その目的に沿ったふさわしい表現や伝え方をご提案し、効果的なコミュニケーションにつながるよう心がけています。

※英文に続く括弧内の和文はすべて筆者による試訳です。

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