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地球沸騰の時代と気候の時限爆弾
地球温暖化(global warming)の時代は終わり、地球沸騰(global boiling)の時代が来た――アントニオ・グテーレス国連事務総長は7月27日の記者会見でこう述べました。
Extreme(極度)を超える現状
この夏、すでに4つの「観測史上の記録」が生まれています。最も暑い日、最も暑い6月、最も高い海面平均水温、そして南極域の海氷面積が観測史上最小という記録です。
最も暑い日となったのは7月6日、世界平均気温は17.08℃でした。観測史上、この数字が17℃を超えたのは今年が初めてです。6月の世界平均気温は、産業革命前の6月の平均よりも1.47℃高い数字でした。世界気象機関(WMO)によると、7月も、最も暑い7月(そして月を問わず観測史上最も暑い1か月)になる見通しです。
海に目を向ければ、海水面の温度が3月下旬以降、過去の記録を上回り続けています。marine heat wave(海洋熱波)が激しさを増しているのです。今年、北大西洋の海洋熱波は特に深刻で、米国海洋大気局(NOAA)は6月にイギリスとアイルランド周辺の海域をカテゴリー4(extreme)、中でも特に水温の高いアイルランド西岸沖の海域をカテゴリー5(beyond extreme)に分類しました。陸も海も、温暖化(warming)という言葉で表現できる状況を超えてしまったかのようです。
Leaders must lead
今年3月、IPCC第6次評価報告書の統合報告書を発表した際に、グテーレス国連事務総長は「気候の時限爆弾が時を刻んでいる」と言い、気候変動対策の緊急性を訴えました。今回の「地球沸騰」という言葉も、今、気候変動がいかに急速に進んでいるか、その影響がいかに深刻かを表すものです。7月の会見の中で、グテーレス事務総長はこうも述べています。
Leaders must lead. No more hesitancy. No more excuses. No more waiting for others to move first. There is simply no more time for that.
(試訳)リーダーたちは、リーダーとしての役割を果たさなければなりません。もはや躊躇している時ではない。言い訳はもういらない。誰かが先に動くのを待っている場合ではない。とにかく、もうそんな時間は残されていないのです。
沸騰よりもさらに深刻な状況を表す新しい言葉が必要になる前に、気温上昇が抑制される未来に導くべく、各国のリーダーがリーダーとしての役割を果たすことが、今、求められています。
Photo by Tumisu via Pixabay