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色が付いた炭素?
実は、世界には“青色の炭素”と“緑色の炭素”があるんです、と言ったらビックリするでしょうか。
緑色の炭素、すなわち「グリーンカーボン」は、陸上の森林などが光合成で二酸化炭素を吸収して隔離する炭素のことを指します。人間が排出した二酸化炭素を吸収してくれる「吸収源」としてほとんどの人がイメージするのは、このグリーンカーボンでしょう。
これに対して、青色の炭素、すなわち「ブルーカーボン」というものも注目されるようになっています。
ブルーカーボンとは
ブルーカーボンとは、海洋生態系に隔離された炭素のことです。2009年に国連環境計画(UNEP)が発行した報告書”Blue carbon: the role of healthy oceans in binding carbon”(仮訳:ブルーカーボン――健全な海洋が炭素の固定に果たす役割)で命名されたのが最初です。
この海洋生態系としては、藻場や湿地・干潟、マングローブなどが挙げられます。こうした生態系の植物や植物プランクトンが光合成を行う際に二酸化炭素を吸収するほか、枯れた後に海底に堆積して貯留する分もあり、また二酸化炭素は水に溶けやすいため海水自体にも大量の二酸化炭素が溶け込んでいます。国土交通省の作成した資料によると、1年間に陸域に吸収される炭素が22億トンであるのに対し、海洋に吸収される炭素はなんとそれよりも多く、26億トンにのぼるそうです。
日本政府の取り組み
2021年6月に日本政府の発表した『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』においても、食料・農林水産業による取り組みとして次のように明記されています。
ブルーカーボンについては、2023年度までに海藻藻場によるCO2の吸収・貯留量の計測方法を確立し、国連気候変動枠組条約等への反映を目指すとともに、産・官・学による藻場・干潟の造成・再生・保全の一層の取組を推進する。このことは、沿岸域での生物多様性の回復にも寄与する。
With regard to blue carbon, we will establish a method for measuring the amount of CO2 absorbed and stored by seaweed beds by fiscal 2023, and aim to reflect this in the United Nations Framework Convention on Climate Change, etc. At the same time, we will promote further efforts by industry, government, and academia to create, restore, and preserve seaweed/seagrass beds and tidal flats. This will also contribute to the restoration of biodiversity in the coastal zone. We will also promote the development of innovative technologies such as mass cultivation technology of hydrogen-oxidizing bacteria as a new CO2 sink.(日本政府によるProvisional translation)
気候変動の防止になるとともに生態系保全にも役立つ、一石二鳥のブルーカーボンの取り組み。今後の進展に期待したいと思います。
(五頭美知/翻訳者)
(Thumbnail photo: Shifaaz shamoon via Unsplash)
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