Translators in Sustainability 伝わるコミュニケーションへの道
Regenivore 食を通してプラスの変化を
このブログでは、これまでに何度か「regeneration / regenerative(リジェネレーション/リジェネラティブ)」について取り上げてきました。今回紹介するのは、これに接尾語の –vore(~を食べる者)がついた新語、regenivore。インターネットで検索すると、この言葉が使われ出したのは昨年の終わりごろです。使用頻度はまだそれほど多くありませんが、米ニューヨークタイムズ紙の、今年の食トレンドを予想する記事にも登場しました。
食を中心に広がるリジェネレーション
Cambridge Dictionaryのブログでは、以下のように説明しています。
a person who tries to actively stop or reverse the damage being done to the environment through the foods they choose to buy and eat
(試訳:買って食べるものの選択を通して、積極的に、環境への悪い影響を止めよう、または良い影響に変えようとする人)
また別の記事では、regenivoreとは、広い視点を持って「野菜や穀物がどこで栽培されたのか、家畜がどのように育てられたのか、その栽培や飼育に携わった人たちがどのような環境のもとで働き、どんな扱いを受けたのか」を考える人だと説明しています。そして、生産者も、販売者も、消費者も、それぞれの立場で実践することで、大きなプラスの変化を起こしうるのだと述べています。
新語ゆえに定義や解釈に幅がありますが、このような言葉が生まれること自体、リジェネレーションという概念が広く認識されつつあることの表れだと思います。
楽しく取り組める選択肢として
ライフスタイルを変えようと思うとき、変化がストレスになってしまっては長く続きません。そうならないためのコツは、その行動自体を楽しむこと。環境や社会、そして自分自身の健康にも良い影響があるように、プラスの意識で「こうしてみよう、これを選ぼう」とする行動は、前向きな気持ちで楽しく取り組めそうです。
「人は新しく知ることばによって新しい物の見方ができるようになることがある」と、社会言語学者の中村桃子氏は指摘します。日本ではまだなじみのないregenivore(リジェネボア)という言葉がそうした働きを担い、良い影響を生み出すライフスタイルの選択肢として、社会に広がるといいと思います。