サステナブルな社会のための規制 米加州のZEV規制を例に

2022 / 10 / 6 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto


資源エネルギー庁が発表した『エネルギー白書2022』によると、カーボンニュートラルの実現を表明している国と地域は2021年11月時点で154に上ります。一方、そのための政策の方向性はさまざまで、たとえば日本ではTCFDに基づく情報開示の一部上場企業への義務付けなど、産業界における対策強化に力を入れていますが、欧州では民生部門での電化が進められたり、米国では運輸セクターにフォーカスした取り組みが軸となっていたりします。

国を挙げてZEV普及を図る米国

米国では、バイデン大統領が昨年8月、販売される新車の半数以上を2030年までにゼロエミッション車(ZEV)とする目標を掲げました。
州レベルでは、カリフォルニア州で今年8月、2035年までに新車販売すべてをZEVとする規制案が可決されました。温室効果ガス排出量の約50%、大気汚染物質の80%が運輸セクターに起因すると言われている同州が先駆けとなる今回の規制ですが、他の州も追従する動きが見られます。
連邦政府の方針に沿いつつ、州レベルのローカルな状況に適した対策が進められています。

目的は、サステナブルな社会の実現

カリフォルニア州規制案の中身を見てみると、排出削減だけではなく、より広く脱炭素社会に向けた公正な移行(just transition)を目指していることが分かります。

同州大気資源局(CARB)のウェブサイトには次のように書かれています:

The regulation also includes provisions that enhance equity in the transition to zero-emission vehicles and provides consumers certainty about the long-term emission benefits, quality, and durability of these clean cars and trucks and the batteries they run on.
(試訳)今回の規制には、ゼロエミッション車への移行における公平性を高める規定も含まれ、またこれらのクリーンな車やトラック、搭載バッテリーが長期的に排出削減上のメリットをもたらし、確かな品質および耐久性を持つものであることを消費者に約束する内容となっている。

具体的には、規制によるメリットが公平に行き渡るように、低所得世帯がZEVを利用できるような支援策が盛り込まれていたり、中古ZEV市場の発展を促して循環型社会の実現に寄与するため、耐久性や保証要件が強化されています。

上記抜粋文にあるequity(公平性)やlong-term(長期的)などは、サステナブルな未来を語るあらゆる文脈に共通するキーワードです。規制に限らず、これからの社会のあり方を考えるとき、常に意識しておく必要がありそうです。

※こちらの記事もあわせてご覧ください。
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Photo by Mikes-Photography via Pixabay

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