足並みをそろえた気候対策で健康的な未来を

2022 / 5 / 2 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto


昨年10月に発表されたLancet Countdownプロジェクトの年間報告書は、気候変動が人類の健康に及ぼす影響が衰えることなく増大していると伝えています。

温暖化の影響にみられる不平等

特に懸念される点として、温暖化による影響の出方や対策の実施状況に不平等が生じていることが指摘されています。
例えば、国の豊かさを示す人間開発指数(HDI)が低いまたは中程度の国では、高温に対する脆弱性(熱波等による早期死亡など)がここ30年で最も上昇しました。
また、気候変動に起因する各種感染症の拡大、水不足、食料不安の深刻化などに対して相応の適応策を実施できている国は、HDIが高い国では89%を占めるのに対し、HDIが低い~中程度の国では、人的リソースや財源の不足が主な足枷となり55%に留まっています。

求められるのは国を越えた一貫性のある対策

また脱炭素化に向けた取り組みを見ると、HDIが非常に高い国々は、エネルギーシステムの脱炭素化を積極的に進めている一方、いまだに化石燃料に公的資金が投入されるなどして大量のCO2を排出し続けており、その量は世界全体の45%を占めています。HDIが中程度~高い国では、脱炭素化や大気汚染規制の動きがまだ不十分で、結果的に大量のPM2.5を排出し、大気汚染に関連した死亡が他の国々よりも目立ちます。またHDIが低い国では、調理など家庭で使用する燃料や設備が整っておらず、家庭内の空気汚染による健康被害が心配されています。
今ある矛盾を早急に正し、世界全体で連携して脱炭素化に向けた取り組みを加速させなければ、この先も国を問わず年間何百万人もの健康が危ぶまれると報告書は警鐘を鳴らします。

報告書は、すべての人々の健康に影響を及ぼす気候変動に対応する上で、常に念頭に置いておかなくてはならない考え方を提示しています。

Neither COVID-19 nor climate change respect national borders.

(試訳)COVID19にも気候変動にも、国境は関係ない。

私たちの暮らしは今や、文字どおり、世界中のすみずみに張り巡らされたネットワークに繋がることで支えられています。相互に作用し合って生きていることを今一度確認し、足並みをそろえて動かなければ、気候変動やコロナ対策はもちろん、核軍縮や貿易など他の問題も決して本当の解決には向かわないと思います。

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Photo by Peggy_Marco via Pxabay

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