Wish-cycling 真の循環型社会のために消費者にできること

2022 / 1 / 5 | 執筆者:立山 美南海 Minami Tateyama

”Wish-cycling”とは?

リサイクルについて調べ物をしていた時に、Wish-cyclingという言葉に出会いました。TerraCycle社が展開するサービス「Zero Waste Box」のウェブサイトでは、次のように説明されています。

“wish-cycling” (aka aspirational recycling): placing something in a recycling bin with the hopes it will be recycled
(試訳)「ウィッシュサイクリング」(希望的リサイクルともいう):リサイクルされると願って、リサイクルボックスに何かを入れること
※2022年1月現在、Wish-cyclingの定訳は特にないようです。

例えば、プラスチック製のバター容器(バターでベトベトしている)やジュースの紙パック(内側にアルミが貼られている)などは、いずれもリサイクル可能な素材で作られていますが、そのままリサイクルボックスに入れてしまうと、Wish-cyclingになります。

こちらのウェブサイトでは、Wish-cyclingについて、次のような問題が指摘されています。
・リサイクル施設のスタッフが手作業で分別しなければならず、時間やコストがかかる。
・リサイクルできないものが混入することで、再生された資源の質が下がる。
・リサイクル処理機が故障する。

焼却や埋め立てを避けようとして、良かれと思ってしたことが、実は負の影響をもたらすことがあるということです。

私たちにできることと、さらなる課題

Wish-cyclingを避けるため、消費者としては、まずはリサイクルのルールを知ることが第一歩になります。ルールは自治体によって異なり、徳島県上勝町のように45種類に分別している地域もあれば、プラスチックを可燃ごみとして扱う地域もあります(例えば東京都渋谷区は2022年7月までプラスチックを可燃ごみに区分)。

一方で、消費者の力では解決しにくい問題もあります。日本のプラスチックごみリサイクル率は約85%と、世界でも高いと言われることがあります。しかし、その大半を占めるのは「サーマルリサイクル」。資源ごみを燃やし、その熱をエネルギーとして回収するというものです(「ごみ発電」ともいう)。これは、世界的には「リサイクル」とは見なされず、「熱回収(thermal recovery)」と呼ばれます。

つまり、せっかく分別方法を調べてルールを守ったとしても、適切に「リサイクル」される可能性は低いのです(世界的に見れば、分別した資源が「ごみ発電」に使われれば、それもWish-cyclingとなってしまうかもしれません)。

分別した先を見据え、ごみの発生を減らす

こうした中で消費者にできるのは、グローバルで繰り返し強調されている通り、ごみの発生そのものを減らすことです。また買い物をする時点で、「これは分別後どう処理されるのか」を考えることも、ごみを減らすヒントになりそうです。例えば上勝町では、一般に「可燃ごみ」とされるごみは、「どうしても燃やさなければならないもの」として区分されています。「燃やすしかないものを、どうしても買う必要があるか」を買い物の時に考えられれば、リユースできるものやパッケージフリーのもの、サーマルリサイクルではない適切な方法でリサイクルされやすい素材でできたものを選びやすくなるでしょう。

2022年4月にはプラスチック新法の施行が予定されているなど、政府レベルでの動きも進んでいますが、課題は山積みと思われます。消費者の私たちが積み重ねる努力が実り、真の循環型社会が実現されることを願っています。

Photo by Nareeta Martin on Unsplash

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