日英の視点のギャップ「社会」とSociety

2022 / 1 / 25 | 執筆者:Yasuko Sato

日本語の「社会」と英語のSociety。ほぼ同じものを指していますが、じっくり調べてみると、日本語と英語の視点の違いが見えてきます。「社会課題(問題)」という言葉を通じて、その違いを見ていきます。

「社会課題」は、世の中にある、あらゆる課題

日本語で「社会課題」という時、皆さんはどんな課題を思い浮かべるでしょうか。例えば、貧困、差別、労働、ジェンダー格差、気候変動、森林破壊など、私たちの社会が抱えているありとあらゆる課題を、日本語では「社会課題」と呼んでいます。その中には、「環境課題」も含まれていることが多いです。

広辞苑で「社会」を引くと、次のような意味があります。

(社会的・自然的、またはそれらを総括した)周囲の世界。環境。[広辞苑 第七版]

Societyが指すもの

上述した広辞苑の定義を除けば、日本語の「社会」と英語のSocietyの定義はほぼ同じで、「人々が共に暮らす場」という意味を持っています。英語にはこちらの意味しかありません。

・people in general thought of as living together in organized communities with shared laws, traditions, and values [メリアム・ウェブスター英英辞典]

・人と人とが互いにかかわり合って暮らしていく場 [明鏡国語辞典 第二版]

Societyは「人と人が関わる場」であり、Social issueは「人に関わる問題」を指します。英語ではSocial issueとEnvironmental issueは並列の関係にあると言えます。ただ実際のところ、環境の問題は人々の生活に影響を及ぼすので、完全に並列というよりは、次のような理解になるのかもしれません。日本語の場合は、上図と下図のどちらの解釈も可能です。

気候変動問題は、直接的に人間に影響があるためか、英語でもSocial issuesとしてリストアップされているのを見かけることもありますが、一般的にはEnvironmental issuesに分類されていることが多いです。環境にかかわる事柄をSocial issuesとして扱うと、英語話者にはわかりづらい表現となるので注意が必要です。

「社会」は人の有無に関係なく私たちを取り巻く空間を指していて、Societyは人々のいる場を指している。解釈の違いの背景に文化の多様性を感じます。こうした小さな発見は翻訳に携わる醍醐味でもあります。

Photo by Gerd Altmann via Pixabay

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