COP26、ファッションの持続可能な未来に向けた動き

2021 / 11 / 26 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto


英国グラスゴーで開催されたCOP26。デザイナーのステラ・マッカートニーが参加したこともあり、ファッション業界の気候対策に注目が集まりました。

ファッション業界は、製品の大量生産・大量消費、水やエネルギーなどの資源を大量に使用する製造工程、サプライチェーンにおける人権問題など、さまざまな課題を抱えています。
気候対策に関しても、グローバル・ファッション・アジェンダの報告書では、現状のままだと温室効果ガス排出量のさらなる増加は避けられず、パリ協定が定める目標から大きくかけ離れてしまうと警鐘がならされています。

課題解決に向け、動き出したファッション業界

そうした状況を踏まえて、今回のCOP26では、2018年に策定された「ファッション業界気候行動憲章(Fashion Industry Charter for Climate Action)」の見直しが行われ、新たな項目が追加されました。以下はその一例です。

●まずは自社とティア1、ティア2のサプライヤーから始め、遅くとも2030年までに石炭火力発電の使用をゼロにする。

●2030年までに優先素材を望ましいインパクトがある、あるいは、インパクトの低い(preferred and low climate impact)素材に100%切り替える。

●1.5℃目標達成に向け、消費者を含む業界全体での協力を呼びかける。

英語表現に注目すると、脱炭素化を意味するdecarbonizingにはじまり、phase-outclosed loop recycledrenewable sourcesregenerative practicesといったサステナビリティ関連のキーワードが目を引きます。裾野が広いファッション業界が新たに定めた憲章に、これまで着々と積み上げられてきた取り組みが集約されている印象を受けました。

カギは協力体制の構築

もう一つ注目したいキーワードはglobal
ファッション業界のバリューチェーンは、言うまでもなく世界のすみずみに張り巡らされています。業界が及ぼすインパクトの大きさやその範囲の広さを考えると、課題解決には、世界規模で協力体制を築く必要があることは明らかです。それだけに、いまやファッション業界の屋台骨とも言える中国やインドといった国々といまいち歩調を合わせられなかった点は非常に残念でした。

閉会にあたり、アントニオ・グテーレス事務総長はこう語りました。

It is an important step but is not enough.
(重要な一歩ではあったが、これでは不十分だ)

前向きな動きは確かにあったCOP26ですが、今後はこれをさらに大きなうねりに変えていけるかどうかがカギとなりそうです。

 

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Photo by Cherie Birkner on Unsplash

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