「貢献」の基礎に「責任を果たす」という視点を

2021 / 11 / 26 | 執筆者:EcoNetworks Editor

以前、ネイティブの翻訳者さんに、「Contribute(貢献する)を多用すると Whitewashing(ごまかし、上うわべを飾ること、粉飾)に聞こえる」と言われたことがあります。英訳する際にはContributeを使いすぎないようにしていますが、「貢献」という語は日本語のレポートに頻出するため、今日はこの言葉について少し考えてみたいと思います。

Contribute(貢献する)にはボランタリーな側面がないか

日本語の「貢献する」は収まりがよく使いやすい表現です。「地域への貢献」「SDGs達成への貢献」のように、日本語のレポートでよく使用されます。辞書を引くと、「Contribute」「貢献」にはそれぞれ次のような意味があります。

‘to give something, especially money or goods, to help achieve or provide something’ [Oxford Learner’s Dictionaries]

‘ある物事や社会のために役立つように力を尽くすこと’ [明鏡国語辞典 第二版]

言うまでもなく、「貢献」は肯定的な言葉ですが、課題が自分の外にあり、そこへ働きかけるというニュアンスがあるように思います。ボランティア活動がわかりやすい例ですが、自主的に任意で取り組むという印象もあります。

自分事だからDo our part(責任/役割を果たす)

では、他にどのような表現ができるでしょうか。下記がその一例です。

How our employees help us do our part for the environment (Ciscoのブログより引用)

当社が環境に対し責任を果たすために従業員は何ができるのか

(△当社が環境に貢献するために従業員は何ができるのか)

△で示した文は、いかにも日本語のレポートに出てきそうな表現に書き換えたものです。上の英文は、太字の部分をcontribute toに置き換えることもできますが、do our partを用いることで、課題を自分事と捉える姿勢や、強い責任感・義務感を効果的に伝えています。

「責任を果たす」のはごく自然なこと

ホールケーキを10人で食べる時、私たちは自分の分だけ大きく切ったりせず、できるだけ10等分になるように切り分けます。義務感や責任感は堅苦しいものではなく、ケーキを切り分ける時に私たちが自然と発揮する、分かち合う力に表れているように思います。

山積する社会・環境課題の解決には、痛みを伴うことが予想されます。そうした課題への取り組みは自分たちの当然の責務なのだという気づきが、「できることから」「できる範囲で」というこれまでの消極的な姿勢を打ち破る力になると信じています。

*本文中の訳は仮訳です。

(翻訳者、翻訳コーディネーター/ Yasuko Sato)

Photo by Toa Heftiba on Unsplash

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