マイナスをプラスに変えるリジェネラティブ農業

2021 / 9 / 28 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

世界で注目を集める「リジェネラティブ農業」。
農林水産省の「みどりの食料システム戦略」のほか、「欧州グリーンディール」、「農場から食卓へ(Farm to Fork)戦略」でも拡大を目指す有機農業とどう違うのでしょうか?
こちらの記事を参考に、その違いを探ってみます。

マイナスをプラスに変える

まず注目したいのは、リジェネラティブ農業が土壌を修復して自然環境の回復につなげることを目指している点です。化学合成肥料や農薬を使用しないことによる環境負荷の低減を目指す有機農業との違いが次の一文から分かります:

…regenerative agriculture (中略) seeks to reverse negative impacts rather than eliminate them.
(・・・リジェネラティブ農業では、マイナスの影響をなくすことではなく、プラスの影響に変えることを目指します)

実際にリジェネラティブ農業を通して、土壌の改善やそれに伴う炭素隔離の促進や水循環の改善、生物多様性の回復など、現状をより良い状態にもっていくプラスの影響が期待できるとされています。

包括的な視点で、より良い状態を目指す

次に注目したいのは、リジェネラティブ農業が包括的なアプローチを取る点です。
たとえば、森林を伐採してできた農地で有機栽培によって作られた農産物が遠方まで輸送され販売されているとしたら、プロセス全体で見たときに環境への負荷が必ずしも低減できているとは言えません。
その点、リジェネラティブ農業では全体的な影響を考慮します:

So rather than going all-in on addressing one type of environmental problem, it is important to consider the broader trade-offs by applying a systemic approach.
(一つの環境問題に集中して取り組むのではなく、包括的なアプローチを取って、より幅広いトレードオフを検討することが大切です)

上記に抜粋した文章の中で、太字で示したキーワードに注目すると、有機農業を出発点として、現状維持からさらなる改善へ、局所的な効果から全体的な効果へともう一歩推し進めていくのがリジェネラティブ農業と言えそうです。

世界人口のさらなる増加が見込まれる中、地球の限界(プラネタリーバウンダリー)を超えずに全人類の食料を確保することはもはや不可能なようにも思われます。この難局を乗り越えるには、リジェネラティブ農業のように、マイナスをプラスに変える力を持つ包括的なアプローチが必要です。

Photo by Free-Photos via Pixabay

(※英文下にある括弧内の訳はすべて試訳です)

こちらの記事もあわせてご覧ください:
Interview: 有機農業が促進する「食」のサステナビリティ
Farm to Fork 食の持続可能性を目指すEUの野心的な戦略
食の未来のために、どう作り、どう守るか

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