気候変動とプラスチック汚染 そのつながりと共通点

2021 / 9 / 29 | 執筆者:Yukiko Mizuno

今年も、6月末に記録的な熱波が米国北西部・カナダ西部を襲い、7月に集中豪雨がドイツ西部とベルギーで発生するなど、世界各地で極端な気象現象が観測されました。COP26の開催が近づくなか、各国政府の気候変動政策に関する動きが注目されます。

一方で、プラスチック汚染の問題もますます深刻になり、これに対処するための国際協定を求める声が高まっています。WWFによれば、世界で200万以上の人々、約40の国際企業、約70の国と地域が、新たな国際協定の発足を支持しています。

互いに影響を悪化させ、ときには二重の苦しみを与える要因に

気候変動とプラスチック汚染――この二つの地球環境問題の関係性が、最近発表された論文『The fundamental links between climate change and marine plastic pollution(仮訳:気候変動と海洋プラ汚染の根本的なつながり)』にわかりやすくまとめられています。二つの問題は、つながり合い、互いにその影響を悪化させているのです。

まずプラスチックについて見ると、原料である化石燃料の採掘に始まり、使用後に焼却や埋め立ての処理が行われるまで、そのライフサイクル全体を通して温室効果ガスが発生します。海水中で劣化したプラスチックからも、メタンやエチレンなどの温室効果ガスが発生すると言われています。

他方、気候変動には、プラスチック汚染の影響を悪化させる側面があります。温暖化によって台風や洪水の激しさや頻度が増せば、川や海へと流れ出たプラスチックが、より広く拡散していくからです。また、北極の氷には大量のマイクロプラスチックが蓄積されていますが、温暖化によってこの氷が解ければ、そのマイクロプラスチックが海水環境に放出されることになります。

気候変動とプラスチック汚染は、同じ生物や生態系に対して影響を与えることもあります。例えば温暖化による海水温の上昇は、サンゴの白化現象の要因のひとつと考えられています。そして、プラスチックがサンゴを直接傷つけたり、病気になる可能性を高めたりするという報告があります。つまりサンゴは、気候変動とプラスチック汚染によって二重に苦しめられているのです。

根源にあるもの

気候変動もプラスチック汚染も、その根本的な原因のひとつは、限りある資源を大量に消費する直線的な経済(linear economy)のシステムです。循環型の経済(circular economy)へとかじを切れば、この二つの深刻な問題を両方とも改善させることにつながります。今までと違う新しいシステムに移行するのは容易なことではありませんが、難しいからこそ、試行錯誤が求められるからこそ、先延ばしにしてはならない課題だと思います。

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Photo by Saikiran Kesari on Unsplash

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