Othering=他者化 D&Iで意識すべきこと

2021 / 8 / 31 | 執筆者:立山 美南海 Minami Tateyama

ジェンダーの多様性に関する本を読んでいた時に、Otheringという言葉に出会いました。直訳すると「他者化」。形容詞のOther(他の)の動詞としての形に、-ingを付けたものです。

Merriam-Webster英英辞典では、動詞としてのOtherの意味が次のように説明されています。

to treat or consider (a person or a group of people) as alien to oneself or one’s group (as because of different racial, sexual, or cultural characteristics)
試訳:(ある人や集団)を(人種、性的、文化的特徴が異なることを理由に)自分自身や自分の所属集団とは異質なものとして扱う、または見なすこと。

つまり、ある人々を、「私たち(Us)」とは異なる「あの人たち(Them)」として見なすことを意味します。特に、マジョリティ側の人々によるマイノリティへの言動という文脈で使われることが多いようです。特定の民族を異質と見なし、迫害する行為は、Otheringの極端な事例です。

迫害ほど極端でなくても、より身近な場面では、ポジティブな意図で実行するD&I施策が、意図せずOtheringになってしまうこともあります。

たとえば、「LGBTQの人々を受け入れる」という表現。一見するとポジティブなものに思えますが、「受け入れる」という言葉には「内」と「外」の概念が根底にあります。「受け入れる」と発言する主体である「私たち」は、結局はLGBTQの方々を異質なものとして扱っていると捉えられるリスクがあります。

こうした表現の背景では、ひょっとしたら、「異性愛者の男性」ばかりの集団に「それ以外」の人々を迎えることを「多様性」と定義されているかもしれません。「あの人たちを仲間に入れること」を多様性と呼んでいたら、「私たち」対「あの人たち」の対立構造は強化される一方です。

D&Iの本質とは、Otheringの裏返し、つまり「UsとThemの間で線引きをせず、すべての人々を個人として尊重し、関係を築くこと」と言えそうです。すべての人々が公平なチャンスを得られる制度を設計するにあたっては、特定のカテゴリを意識することは避けられないものの、それが結果として誰かを「Other」に追いやることになってしまわないか、気を付けなければなりません。

Photo by Clay Banks on Unsplash

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