気候変動対策に世界が動き始めた

2021 / 5 / 4 | 執筆者:EcoNetworks Editor

4月22、23日に米国のバイデン大統領主催の気候サミット(Leaders Summit on Climate)が開催されました。招待を受けた世界40カ国ほどの首脳がオンラインで参加しました。

米国はトランプ前大統領の時代にパリ協定から離脱していましたが、バイデン大統領は就任初日にパリ協定に復帰することを表明しました。そして正式に復帰後、このサミットを主催し、その場でバイデン大統領は、温室効果ガス排出量を2030年までに2005年比で50~52%削減するという新しい「国が決定する貢献」(NDC: Nationally Determined Contribution)を発表しました。

日本の菅義偉首相もその場で、2030年度に2013年度比で46%減、さらに50%減に向けて挑戦を続けるという目標を世界に向けて発表しました。これまでの26%減という目標があまりに低すぎたので、やっと他の先進国と遜色ないレベルになったというところです。

日本国内では、産業界の積み上げ方式をベースに考えて、一体46%減をどう実現するんだという論調が目立ちます。小泉進次郎環境相も、テレビの報道番組のインタビューで「おぼろげながら浮かんできたんです、46という数字が。シルエットが浮かんできたんです。」と答えるなど、意図的なのか、たまたまなのか、曖昧な説明に終始しています。

しかし世界的に見れば、2015年のパリ協定に謳われた2℃目標、さらには気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年に『1.5℃特別報告書』で示した、さまざまな影響の度合いを考えれば温暖化を2℃ではなく1.5℃に抑えるべきだという知見をもとに、「地球の気温上昇をいかにして1.5℃に抑えるか」というのが議論のスタート地点になっています。

英国は1990年比で78%削減(2035年)、EUは55%以上削減(2030年)を表明しています。日本と米国の目標を1990年比に換算した値を国際環境NGOのグリーンピースが発表しており、米国は45%減、日本は40.3%減という値になるとあります(1990年というのは、世界で初めて数値目標が設定された「京都議定書」で使用されていた基準年です)。これらを見比べてみると、国際社会の中では日本の新しい目標もそう野心的な部類ではないということがわかります。しかしそれでも、これまで踏み出せなかった大きな一歩をやっと踏み出せたことに安堵を覚えています。

米国は、誰が大統領になるかでまた方針が変わる可能性があります。地球の気候変動の現状、また自然災害の増加などですでに人間社会に及び始めている影響を考えても、今のうちに進められるだけ進めてほしい、と切に願います。

(五頭美知/翻訳者)

Photo by Mika Baumeister on Unsplash

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