新たな自然災害 晴天の洪水 Sunny-day flooding

2021 / 2 / 27 | 執筆者:EcoNetworks Editor

「洪水」という言葉は台風や豪雨、ハリケーンなどとセットで聞くものと思っていましたが、大雨が降ったわけでもないのに洪水になってしまうということが、フロリダ州やニューヨーク州、カリフォルニア州など全米各地の沿岸部で増えているそうです。満潮時に水が陸地の方まで上がってきてしまうのですが、なぜそのようなことが起きてしまうのかというと、昔に比べて海水面が上昇しているからです。気候変動の影響です。

ベネチアも有名です。実は2005年頃イギリス人の書いた文章を翻訳した際に、ベネチアが水浸しという記述が出てきて、どういうことだろうとインターネットで調べたのですが、当時はまだ今ほどネット社会ではなかったこともあって何も情報が見つからず、とても困惑した記憶があります。その後、だんだんとテレビや新聞などの報道でも目にするようになり、このことだったのか、と膝を打ったものです。

「海面上昇」と聞くと、20年くらい前はツバルなどの小島嶼国が大きな被害を受ける問題、というイメージが強くありました。その後、2017年に公開されたアル・ゴア元米副大統領の映画「不都合な真実2」で、フロリダ州が雨が降っているわけでもないのに冠水している様子が紹介されていて、そんなことがあるのかと不思議な気持ちで見ていました。でも、さらに今回調べる中で、米国の多くの場所で既に頻回の被害が出るようになっていると知り、非常に驚きました。

以下は、全米各地の、晴天の洪水の年間発生日数を示しています。年間0日が青、10日以上が赤のスケールで色が塗られており、今世紀に入ってから顕著に増えていることが一目瞭然です。

Porjections of flood days per year, from NOAA Study

©Wetlands Watch
https://wetlandswatch.org/directors-blog/tag/sunny+day+flooding

 

また、以下のグラフは米国連邦政府のサイトに掲載されているバージニア州ノーフォークの予測(2015年頃までの灰色の棒グラフは実測値)ですが、最悪の場合、今から54年後の2075年には1年に365日、つまりずっと浸水し続けている状態になりかねないということです。

© U.S. Climate Resilience Toolkit

https://toolkit.climate.gov/topics/coastal-flood-risk/shallow-coastal-flooding-nuisance-flooding

この現象は、sunny-day flooding(晴天の洪水)のほかにも、tidal flooding(tidal: 満潮時の)、high-tide flooding(high-tide: 高潮)、nuisance flooding(nuisance: 厄介者)とも呼ばれています。

海水面は地球全体で一様に上昇しているわけではないらしく、日本でこのような問題が起きていないのは、たまたま運が良いのかもしれません。でももしかしたら、「まだ起きていないだけ」なのかもしれません。

(五頭美知/翻訳者)

Photo by Colton Jones via Unsplash

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