バイデン大統領の決意 unityとexample


米国で大統領就任式が開かれました。バイデン新大統領が就任演説で強く訴えたのはunity(結束)。one another、together、all of usなど関連する表現も多用し、分断が進んだ社会が抱えるさまざまな課題に対して、今一度ひとつになって共に取り組もうと呼びかけました。15分ほどのスピーチの中で、この点が要点として際立ち、多くの人が期待感を持って受け止めたのではないでしょうか。

スピーチの中でもう一つ印象的だったのがこちらの表現です:

We will lead not merely by the example of our power but by the power of our example.
NHK訳:私たちは力を示すだけでなく、模範となることで世界を先導していきます)

注目したいのは、「模範」の意味で使われているexample
実は、バイデン氏が掲げている気候計画「The Biden Plan for a Clean Energy Revolution and Environmental Justice(クリーンエネルギー革命と環境正義)」の中にも同じような表現が繰り返し使われています:

Biden will lead the world to address the climate emergency and lead through the power of example, by ensuring the U.S. achieves a 100% clean energy economy and net-zero emissions no later than 2050.
(試訳:バイデンは、気候の緊急事態への対応で世界をリードし、遅くとも2050年までに100%クリーンエネルギー経済と排出実質ゼロを実現して模範を示すことで他の国を導きます)

まず自ら野心的な目標を掲げて達成してみせるという決意がthrough the power of exampleという表現から伝わります。そして、力にものを言わせて他を従わせるのではなく、率先して模範を示すことで追随する動きを促していくというのがバイデン氏の目指すやり方なのでしょう。
冒頭に上げたunityとともに、「Make America Great Again」を標榜していた前政権との違いがここにも鮮明に表れています。

就任初日に早速パリ協定復帰の手続きを進めたバイデン大統領。気候変動の大きな影響を回避するには1.5℃目標の達成が必須で、各国には国別目標の引き上げが求められていますがなかなか進んでいないのが現状です。バイデン大統領の決意表明と目標達成に向けた確かな行動が、そんな現状を打破し、サステナブルな未来への大転換を促す世界的な動きへとつながることを期待しています。

Photo by Ronile via Pixabay

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