言葉で振り返る「異例の年」

2020 / 11 / 27 | 執筆者:Yukiko Mizuno

毎年、この時期になると主な英語辞書サイトから「今年の言葉(Word of the Year)」が発表されます。

新型コロナウイルスの世界的流行という未曾有の事態に見舞われた2020年。英オックスフォード大学出版局は、今年を一つの言葉で表すことはできないとして、多数の言葉を紹介する『異例の年の言葉(Words of an Unprecedented Year)』という報告書を発表しました。

同出版局では、作業の過程で何百という新しい重要語や使用法を特定しました。なかには、例年であれば文句なしに「今年の言葉」に選ばれるような言葉も多数あったと言います。言葉を失うほどの困難に見舞われた年が、ほかの年とは比べものにならないほど新しい言葉で満ちていたのは、少し皮肉な話でもあると、同出版局代表のグラスウォール氏は語っています

報告書を読んで印象に残ったことが二つありました。

一つは、今年生まれた造語です。例えばanthropauseという言葉が、2020年6月に登場しました。「人間の」という意味の接頭語(Anthropo-)と、休止(pause)を組み合わせた言葉で、コロナ禍による人間活動(旅行など)の世界的な減速を表します。staycationworkationのように、昔からあった言葉の使用頻度が今年大幅に増えたという例もあります。

もう一つは、言葉の並び。例えば、remote(リモート、遠く離れた)という言葉がどのような文脈で使われるのかに着目します。2019年にはvillage(村)、island(島)、control(コントロール)、といった言葉と一緒に用いられることが多かったのが、2020年には世相を反映してlearning(学習)、working(仕事)、さらにはvoting(投票)などとの連語として多く使われました。

言葉とは、どんな時代にあっても世の中の状況に合わせて生み出され、使われ方も変化していくものです。今年を振り返って特筆すべきは、その変化の速さでしょう。新しい言葉やこれまでとは少し違う使われ方が、あっという間に日常生活のなかに入ってきたように思います。今年は、人間と同じように、英語という言語も、刻々と変化する新しい状況に迅速に適応し続ける必要があったと、オックスフォード大学出版局は指摘しています。

そんな異例の年も、終わりに近づいています。次の一年が、私たちの生活にも、言葉の世界にも、明るい変化をもたらす年になることを切に願います。

Photo by StockSnap via Pixabay

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