変革をもたらすための10の行動 Planetary Emergency Plan 2.0より

2020 / 11 / 30 | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

前回のブログでは、地球の危機を乗り越えるための計画 Planetary Emergency Plan 2.0に方向性として示されている10の責任(コミットメント)をご紹介しました。今回は、それを実現していくための具体的な行動について、ご紹介します。

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変革のための10の緊急行動(Plan P9より、筆者仮訳)

公正かつ衡平な社会の実現

1. 社会経済、医療、ウェルビーング(幸福、健康、福祉、豊かさ)を含む経済発展指標を2030年までに導入する。ウェルビーングは、自然生態系の管理状況および世界で最も弱い立場にある人々の支援状況の影響を受けることを理解する。

2. 21世紀に向けた税制改革を実施する。環境および社会の負の外部性の費用を見積もる。私たちが望まないものに課税する(不平等、炭素、土壌・水・大気の汚染、資源の過剰消費、健康に良くない食べ物や飲み物)。有益な社会活動や行為に課税しないあるいは減税する(労働、低炭素排出、健全な生態系、自然に根差した解決策、循環・再生工程)。特に、先進国と途上国における富と繁栄の分配に深刻な不平等がある問題に対処するために、富裕税や多国籍企業向けの国際的な課税制度を導入する。

3. コロナ後の経済・健康・生態系に関する困難に対する将来の世代の回復力を高めるために、2020年末までに、医療制度、変革のための研修やイノベーション、離職者や若者の再教育を促進する教育・雇用プログラムを利用できるようにする。特に女児や女性が平等なアクセスを有するようにする。

4. すべての先住民族コミュニティがその権利を守ることができるように法的・財政的メカニズムを共創する。権利とは、土地、食料、水、伝統的知識、法的扶助、医療などの基本的サービスに関する権利である。地球規模の健康危機および環境危機の影響を受けやすい先住民族に、気候変動と生態系劣化を緩和するための土地管理者として、政策や法的および財政的メカニズムの草案作成に必ず参加してもらう。そうすることは先住民族コミュニティの意見を守るだけでなく、公の場でそれを広めることにつながる。また前述のメカニズムには、これらのコミュニティが司法制度を利用できることを保証する財政的および法的支援がなければならない。

エネルギーシステムの移行

5. 化石燃料への助成金を中止し、化石燃料の拡大、生産および使用を止め、利益や投資を低炭素エネルギーの導入に転換する。同時に、そのために必要な事項の科学的調査と気候中立(実質排出ゼロ)の目標に沿った、化石燃料を基本エネルギーとするインフラ・モビリティ(移動手段)・発電の終了日を設定する。

6. 2025年より前に、高排出産業部門での再生可能エネルギー・エネルギー効率・低炭素技術(再生可能エネルギーを利用して水から製造する「グリーン水素」など)に関する研究開発やイノベーションに対する年間投資を3倍にし、少なくともGDPの1%を割り当てることにより、4年間で風力および太陽光発電を2倍にし、この拡大ペースを継続する

7. 世界の炭素税の最低価格を少なくとも30米ドル/トンCO2以上に設定する。これによりすべての製品・サービスにおける炭素エネルギーの外部性を内部化する。先進国については直ちに、そして最もエネルギー移行が進んだ経済圏では遅くとも2025年までに、この最低価格設定を始める。並行して、高炭素エネルギーや炭素排出の多い製造に大きく依存している経済圏に適切に補償する拘束力のある協定を締結する。

循環・再生型の経済への移行

8. 2030年までに、先進国および新興国における消費と生産のフットプリントを半減し、効率の悪い産業・エネルギー・農業のバリューチェーンや製造プロセスのループを閉じる(資源循環を達成する)ことに、直ちに合意する。そのために、第4次産業革命に向けた、世界全体の資源消費に由来する社会や生態系への影響、食料生産、エネルギーシステムの移行を認めて、外部性を内部化し、環境再生型の土地利用を促進し、持続可能でない自然資源採取(希土類元素、希少鉱物など)を止める。

9. 消費者が果たす責任だけでなく、対象を定めた消費税や規制により、炭素排出が多く持続可能でない生産と消費における外部性を内部化する

10. 2030年までに、すべての国が国家・地域ロードマップを策定する。それは、再生型の土地利用、ウェルビーング、低炭素で循環型の経済に関する指標、人類による資源消費の影響の激減、とカーボンフットプリント実質ゼロ、炭素集約型の業界部門の「自然に正の影響をもたらす(nature positive)」産業への転換を導入するものである。

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これらの緊急行動の柱となっているのは「外部性の内部化」という概念です。税制改革や法の整備によって、私たちが望まないものはコスト高になるようにし、また望む未来を実現するための教育や弱い立場にある人々を守る仕組みなどは減税したり課税しないで支援することです。

またエネルギーの移行については、明確な数値目標を提言し、化石燃料を基盤とする経済を終わらせ移行を促すべきという強いメッセージが打ち出されています。すでに変化は起きており、ユニリーバやパタゴニア、イケア、マイクロソフトなどが事業から排出されたよりも多くのCO2を減らすことを宣言しています。循環・再生型の経済(circular and regenerative economy)への移行は、本来の生態系の在り方を取り戻すことにほかなりません。

Planetary Emergency Plan 2.0は、画像とともに計画の重要なメッセージが書かれています。サステナビリティ分野の方にぜひご覧いただきたい資料です。

Photo by Qui Nguyen Khac via Pixabay

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