今こそ考えたいjustの意味

2020 / 11 / 26 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

2018年のCOP24で注目を集めた「just transition(公正な移行)」という言葉。
具体的には、低炭素社会への移行を進めるにあたり、打撃を受ける産業への影響を想定し、そこで働く人々の雇用を確保することを指す表現として、採択宣言でも用いられました。
副詞の意味で使われることの多いjustが、形容詞として使われていたことが新鮮で、印象に残っています。

そして、新型コロナウイルスによる未曾有の危機にみまわれた今年、「just recovery(公正な再建)」という言葉を耳にするようになりました。調べてみると、FoE International350.orgなど環境保護団体を中心にさまざまな組織がその必要性を訴えています。

具体的な内容は組織によって多少違うようですが、おもに共通するのがこちらの原則です:

1. Put people’s health and wellbeing first. No exceptions.
(人々の健康と幸福を最優先する。例外はない)
2. Strengthen the social safety net and provide relief directly to people.
(社会的セーフティネットを強化し、人に直接届く支援を行う)
3. Prioritize the needs of workers and communities.
(労働者と地域社会のニーズを優先する)
4. Build resilience to prevent future crises.
(将来起こりうる危機を回避するため、レジリエントな社会をつくる)
5. Build solidarity and equity across communities, generations, and borders.
(コミュニティ、世代、国境を越えて、連帯と公平を築く)

コロナ危機は、これまで気候対策や不平等・格差の解消など、さまざまな課題を後回しにしてきた結果であるととらえ、コロナ前の社会に戻すことを目指すのではなく、本来あるべき姿を今一度見直し、環境的・社会的に公正な回復を目指そうというのがjust recoveryの考え方です。

justの定義はmorally right and fair(道徳的に正しく、公平であること)。
Longman Dictionary of Contemporary Englishより引用

いつの間にか、清く正しくあることがときに空しく感じてしまう世の中になっていたような気がします。それでも、今回の危機で「当たり前」が通用しなくなった今、もう一度堂々と正しいことを正しいと言える社会を作り直すチャンスなのかもしれません。

だれかの幸せのかげで、他のだれかが犠牲を払うことがないように。
目の前の便利さを追い求めすぎて、もの言わぬ自然の声に聞こえないふりをしてしまわないように。

だれに対しても、何に対しても、常にjustであるかどうかを問い続けながらポストコロナの世界を考えていけば、より良い未来につながっていくはずです。

 

Photo by beate bachmann via Pixabay

※英文に続く括弧内の日本語訳はすべて試訳です。

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