irreversible 取り返しがつかなくなる前に

2020 / 9 / 28 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto


温暖化の影響で南極の氷が解け、このままでは、パリ協定の2℃目標が達成されたとしても、世界全体で約2.5メートルの海面上昇が起こるとする研究結果が『Nature』誌に発表されました。
また、いったん氷が解けてしまえば、気温が元の水準に戻ったとしても、失われた氷は元通りにならないことも、同研究は指摘しています。

この「元通りにならない」を言い表すのによく使われる表現がirreversibleです。

Longmanの定義は次のとおり:

irreversible damage, change etc. is so serious or so great that you cannot change something back to how it was before
ダメージや変化があまりにも深刻で、あるいはあまりにも大きくて、以前の形に戻すことができない状態

日本語では「不可逆的」と訳されることもありますが、より平易に「取り返しのつかない」「後戻りできない」とも言い換えられます。

前出の研究は、解けてなくなってしまった氷が再度形成されるには、産業革命以前の水準よりさらに低い気温にまで下げなければならず、元通りにすることが極めて難しくなると示唆しています。
irreversibleは、いったん失われれば簡単に取り戻すことができない南極の氷の状態を言い表すのにピッタリの表現です。

ほかにも、irreversibleは気候変動やその他の環境被害に関する文章で使われることがあります。
個人的には、IPCC「1.5℃特別報告書」にあった次の文章でとくに衝撃を受けたことを覚えています:

…increases the risk associated with long-lasting or irreversible changes, such as the loss of some ecosystems.
(1.5℃以上の温暖化により)一部の生態系の喪失など、長期にわたって続く、または取り返しのつかない影響に伴うリスクが増す

日本でも毎年のように、猛暑や豪雨といった極端な異常気象で被害が出ていますが、その背景には気候変動があると考えられます。そういう意味では、irreversibleな影響はすでに出ているといえます。
さまざまな記事や報告書で、以前にも増してこの表現を頻繁に見かけるようになった気がします。取り返しのつかない事態になる前に、気候変動や環境被害がもたらす影響に対して、私たちはもっと危機感をもたなければならないのかもしれません。

※英文に続く日本語訳はすべて試訳です。

Photo by vladsilver via Shutterstock

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