食の未来のために、どう作り、どう守るか

2020 / 8 / 26 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

世界人口はこの先も増え続け、2050年には100億人に近づくと予想されています。
それにともない、食料需要は50%超増え、特に肉や乳製品といった水や土地などの資源を大量に使って生産される食料の需要は70%近くも増えるとみられています。

また、すでに世界の植生地の半分近くで農業が行われ、温室効果ガス排出量全体の1/4が農業に起因している現状と併せて考えると、今の食料システムが持続可能でないことは明白です。

世界資源研究所が昨年発表した報告書『Creating a Sustainable Food Future』は、すべての人に十分な食料を行き渡らせ、これ以上環境に負荷をかけない持続可能な食を実現するには、3つのギャップを埋める必要があると提言しています。

●The food gap
2010年に比べ、2050年に満たさなければならない食料需要は56%増

●The land gap
2010年に比べ、2050年に必要となる農地の面積は約6億ヘクタール増(インドの国土の二倍近く!)

●The GHG mitigation gap
パリ協定の2℃目標達成には、2050年までに、農業に由来するGHG排出量を2010年の1/3(年間4ギガトン)に抑えることが必要(1.5℃目標達成には排出ゼロにしなければならない)

どのギャップもとてつもなく大きく感じられますが、同報告書は22の具体的な解決策を提案し、各解決策による効果を定量化して示した上で、持続可能な食は実現可能だと断言しています。

キーワードは“produce, protect, and prosper

produceとは、自然資源を有効活用して生産性を上げ、すべての人に行き渡る食料を作ること。
protectとは、炭素を貯留し、生物多様性を支え、人間が依存するさまざまなサービスを提供してくれる自然生態系を守ること。

そして、その二つを組み合わせた食料システムを実現した先に、すべての人にとってより良い暮らしが待っている。それがprosper(栄える)です。

この分かりやすい大筋とともに、具体的な解決策が示され、さらにその効果が定量化されていることで、同報告書には強い説得力があります。絶望的に見える現実を前にしても、軌道修正できる可能性を感じられれば、行動を起こす動機にもなります。

一方で、今すぐに行動につなげる必要性も繰り返し強調されており、待ったなしの状況であることに変わりはありません。

自分が口にする食がどのようにもたらされているのか、それによる環境への影響はどの程度なのか。
まずは一人ひとりが知ろうとすることが、すべての人のより良い暮らしにつながる第一歩になるのだと思います。

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