チーム翻訳の難しさと醍醐味

2020 / 7 / 2 | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

ある程度以上の分量がある文書の翻訳は、複数名の翻訳者とチェッカーがチームを組んで取り組むことがほとんどです。訳文の品質を維持しながら、クライアントのご希望の納期で対応するためには、工夫が必要です。

複数名で分担する場合に発生しやすい問題は、

・表記がゆらぐ(例)など/等、および/及び、数字は半角/全角にする
・同じ用語やフレーズの訳が統一されていない
・訳文が、別ページの関連する内容と整合していない

といったものです。チェッカーはそれらの問題を解決して、訳文を仕上げていかなければなりません。

そこで、それぞれの担当者から提出される段階で問題が発生するリスクを避けるために、事前に表記ルールを一覧にしたスタイルガイドを共有することが大切です。当社も標準のスタイルガイドを翻訳開始前に共有しており、またクライアントから事前に社内でのスタイルガイドや定訳の用語集を提供いただける場合は、それも共有しています。

しかし、「キーワードのベストの訳を決める」ことや「内容の整合性」は全体を通して読む必要があり、チェッカーがそれを担保することが多いのが現状です。

先日、複数名で分担して取り組んだ環境関連の報告書がありました。チェッカーを担当していてとても助けられたのは、要旨を担当した翻訳者の方が詳細な内容が記載されている部分を確認したうえで、訳文を仕上げてくれていたことです。また別の方は、期限までの時間を目いっぱい使って、他のパートにも頻出する重要な用語や表記をリスト化して訳文の提出時に一緒に連絡してくれました。そのおかげで、注意して確認すべきポイントがより明確になり、完成度の高い訳文を提出することができました。

別の言語に正確に読みやすく翻訳するという基本を超えてのこれらの対応は、チェッカーだけでなくクライアントの立場に立って発信することを見据えての姿勢からうまれるものです。翻訳者もチェッカーもクライアントと同じ方向を向いている感覚です。

翻訳者、チェッカーそれぞれの役割を果たすことはもちろん大事です。しかしそれを超えて、最終的な提出訳の完成まで協力して取り組むチームはやはり強いです。それは、その報告書を手にする読者が読み取る情報の質に確実に反映されると考えています。チェッカーが提出ぎりぎりまで、チームメンバーに相談し意見をもらうのも欠かせないコミュニケーションです。

そして提出後、クライアントからのうれしい評価も厳しいご意見も、チームに共有して次回に活かします。当たり前のことを根気よく続ける。それが私たちのチームワークを形作っています。

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