Protopia — コロナ禍でも「現実的な良い未来」を目指して

2020 / 4 / 24 | 執筆者:EcoNetworks Editor

先日、ある本を読んでいたときに「protopia(プロトピア)」という言葉に出会いました。

提唱者のケヴィン・ケリー氏は、この言葉を次のように定義しています。

Protopia is a state that is better than today than yesterday, although it might be only a little better.
(試訳:プロトピアとは、昨日よりも今日よりもほんの少しでも良い状態のこと。)

プロトピアの「pro-」は、progress(進歩)と同じで「前へ」のニュアンスを持つ接頭辞です。何もかもが理想的なユートピアでも、その反対のディストピアでもなく、段階的な進歩によって実現できる現実的に良い未来「プロトピア」を目指そう、とケリー氏は提言しています。

ケリー氏は、雑誌『WIRED』の創刊編集長を務めたテクノロジーの専門家です。そのため、プロトピアの概念も、もともとはテクノロジーの進歩に関する概念として生み出されました。

たとえば、人工知能(AI)が創るユートピアとは、AIによってあらゆる問題が解決され、暮らしが向上し、誰もが幸せに暮らす世界です。反対にAIが創るディストピアとは、AIが人類を支配し、人々が生きる意味を見失い、社会が崩壊した世界です。

上記のいずれでもなく、完璧ではないけれど、ほんの少しでも今よりも良い未来がプロトピアです。

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、世界では絶望感が広まっています。経済低迷や失業、倒産、死者数などの暗いニュースばかりが報道され、鬱々とした気分になりがちです。

こうした中で今私たちに求められるのは、過度に楽観的にも悲観的にもならず、「プロトピア」を目指しながら、今できることを着実に実行していくことなのではないでしょうか。

実際、世界では多くの企業が、コロナウイルス対策として「今できること」に取り組んでいます。

たとえば、世界でも日本でも、業界に関係なくさまざま企業がマスクやフェイスシールド、医療用ガウンなどを製造しています。またWHOはMicrosoftやFacebookと手を組み、コロナウイルス対策のハッカソンを開催しました。

今より少しでも良い未来を目指すために、個人にもできることはあるはずです。リモートワークやオンライン会議への移行も、プロトピアに向けたステップになるのかもしれません。

コロナ禍の中、理想的な未来は期待できないとしても、地に足をつけながら、良い未来の創造に少しでも貢献できたらと思います。

(立山美南海/翻訳者、翻訳コーディネーター)

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