保障、保証をどう訳すか?

2020 / 4 / 2 | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

翻訳の作業では、英語と日本語の資料を行ったり来たりします。というのも、日本語にはひらがなやカタカナ、漢字と文字の種類が豊富で、それぞれ意味やニュアンスが違っていることも多いからです。

先日もある報告書の翻訳で「情報保障」という聞き慣れない言葉に出会いました。調べていくと、インクルーシブな社会に向けたソリューションを提供する企業・ミライロのサイトに分かりやすい説明がありました。

情報保障とは、障害のある人が情報を入手するにあたり必要なサポートを行うことで、情報を提供することを言います。主に、視覚障害者と聴覚障害者への配慮として用いられます。

訳すと、supporting people with disabilities to have access to information と長くなります。関連の学術論文では、information support としているものもありました。これを和訳すると「情報支援」です。それでもいいかなと思いながら、もう少し調べると、accessible = 入手しやすい、アクセスしやすい、という形容詞の派生語 accessibility を用いて、ensuring information accessibility ともできそうです。

一方、漢字一字違いで「情報保証」という言葉があります。防衛省の資料での説明は、

情報保証とは、情報システム及び情報システムにおいて取り扱われるデータの機密性、完全性、可用性、識別認証及び否認防止を維持すること

とあり、米国で主に使われてきたようです。英語では information assurance で、これにサイバーアタックの脅威に対する安全性が加わると、いわゆる「情報セキュリティ」となると考えます。先の防衛省資料にも情報保証という言葉を使わずに情報セキュリティを使用するとあって、垣根がなくなっているようです。

security =セキュリティ(また保障、警備、防衛、安全保障など) は、危険や不安、損害がないこと、またそのような状態を確保する手段、という意味でつかわれることが非常に多いため、またその重要性も高まっているため、英語でもカタカナでも使われることが多いですね。

日本語で、英語で何を意味するのか。そしてどこでいつ頃使われているのか。今を生きる私たちがどれを選択するのがベストか。違いや共通点を確認しながら、訳語を決めていきます。

冒頭の報告書では、D&Iの文脈でしたので、information accessibility を使用してご提案しました。

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