NYブルックリンの生協、その民主的な運営

2020 / 3 / 3 | カテゴリー: | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

ニューヨーク、ブルックリンのパークスロープ地区にあるフードコープ(生活協同組合)「パークスロープ・フードコープ(PSFC)」の存在を最近知りました。PSFCのミッション・ステートメントに、その特徴がよく表れています。

Good Food at Low Prices
for Working Members
through Cooperation
since 1973

「よい食べ物を低価格で」の次に来る「働く会員のために」というフレーズ、びっくりしませんか? 会員マニュアルを読むと、4週間に一度、2時間45分の労働が割り当てられています。もちろん専従の従業員もいるのですが、労働力の75%は会員によって提供されています。ホームページに Shift Swap のアイコンがあり、メンバー間同士でシフトを交代できるようです。

重要な決定は総会で決められますが、例えばビールや食肉を置くかどうかの決定は全員投票を行い総会で承認する、とあります。

PSFCの運営は、会員が3つのステークホルダーの役割を担っています。会員として、権利を行使し組織の決定に参加する。顧客として、組織が提供する価値を受け取り、対価を支払う。労働者として、事業運営を支え、課題があれば自らその解決に取り組む。それぞれの立場を経験することで、対立構造がなくなり、本当の意味での「協力」が生まれていくのではないでしょうか。

例えば「大好きなビーツがすぐ売り切れになるのは困る!」と顧客として思ったら、「仕入れ先や仕入れの頻度を増やせないだろうか?」と考え、よい生産者さんはいないか調べたり、ほかの会員に聞いて回ったり、と不満を解決しようと行動に移せます。単なる顧客だったら、苦情を言って終わり、改善しなければほかのお店に行く、となりがちで、会員(顧客)のエンゲージメントを強化するうえでも効果的です。

調べていくうちに、2002年からPSFCの会員という方の日本語の記事を見つけました。楽しみながらこの場を共創している様子がよくわかります。私も買い物に行ってみたくなりました。

 

Asahi Shinbun GLOBE+: アメリカで最も成功した生協は「働かざる者買うべからず」で発展した(2019年8月25日)
https://globe.asahi.com/article/12647639

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