乗り越えて、学び、生かそう

2020 / 3 / 27 | 執筆者:Yukiko Mizuno

新型コロナウイルスの世界的な大流行が加速しています。各国で外出制限などが実施され、経済活動が抑制される中、各地で大気汚染の改善を示すデータが得られています。こうした現状について世界気象機関(WMO)のペッテリ・ターラス事務局長が述べた言葉を、WMOのウェブサイトで見つけました。

“Despite local reductions in pollution and improvement in air quality, it would be irresponsible to downplay the enormous global health challenges and loss of life as a result of the COVID19 pandemic.”

“However, now is the time to consider how to use economic stimulus packages to support a long-term switch to more environmentally and climate-friendly business and personal practices.”

「汚染が抑えられ、大気の質が改善している地域がある。しかし、だからといって、新型コロナウイルスの大流行のために世界が直面している甚大な医療危機と人命損失を軽く見るのは無責任だ」。そう述べた上で、ターラス事務局長は、今回の事態を乗り越えるために世界各国で導入されるさまざまな景気刺激策のあり方について言及しています。

「景気刺激策をどう生かしたら企業活動や市民生活を、環境にやさしく気候にも配慮する方向に導いていけるのか。今、まさにそれを考える時なのだ」。

こんなときだからこそ、また大きな介入が予想されるからこそ、とても重要な視点だと思いました。

経済活動が停滞すれば大気汚染物質の排出は減少しますが、景気の回復とともに増加に転じると予想されます。一方で、欧州公共医療機関連盟(EPHA)は、長期にわたり続いてきた大気汚染が、一部の地域で新型コロナウイルスによる影響を悪化させた可能性について指摘しています。有害な粒子状物質が大気中に高濃度に存在した地域でウイルスの拡散が促進された可能性を指摘する研究者もいます。いずれの仮説もまだ十分な証拠はなく、今後の検証が必要とされますが、従来の経済活動をただ回復させるのではなく、方向を変える必要があることを示唆しています。

目前の危機を乗り越えるために力を尽くすことが重要なのは言うまでもありませんが、その上で、危機から何を学び、それを今後の市民生活、経済活動のあり方にどう生かしていくのかという長期的な視点を持つことも、私たちに求められているのだと思います。

(参考)ケンブリッジ大学出版局のブログに、新型コロナウイルス関連の報道でよく使われる英語が、わかりやすくまとめられています。

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