「柔軟な菜食主義」が地球を救う?

2020 / 1 / 6 | 執筆者:EcoNetworks Editor


フェイクミートや植物性ミルクなど、2019年は植物性食品業界が大きな盛り上がりを見せた1年でした。

2019年5月には、人工肉を開発・製造する米ビヨンド・ミート社がナスダック市場に新規上場、8月にはインポッシブル・バーガーで有名な米インポッシブル・フーズ社が米食品医薬品局(FDA)から米国内の食料品店における販売の承認を得るなど、代替肉のスタートアップが躍進を遂げました。

またスタートアップに限らず、ケンタッキーフライドチキンやバーガーキング、マクドナルドなどの大手ファストフードチェーンも、植物性の人工肉を用いた商品の販売・テスト販売を次々と実施しました。

デロイトの調査によると、こうした植物性食品業界の盛況の主要因となったのは、「フレキシタリアン(flexitarian)」と呼ばれる人々の増加です。フレキシタリアンとは、菜食を中心としながら肉食も排除しない食生活を送る人々のこと。「flexible(柔軟な)」と「vegetarian(菜食主義)」を組み合わせた言葉です。上記のファストフードチェーンの新商品は、いずれもフレキシタリアンをターゲットとして意識したものでした。

肉食を減らし、植物性の食品を中心とする食生活に移行しようという動きの背景には、健康への配慮や倫理的な動機に加え、環境問題への課題意識があります。

畜産による環境汚染については、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国連食糧農業機関(FAO)など多くの国際機関が指摘しています。IPCCが2019年8月に発行した特別報告書『気候変動と土地(Climate Change and Land)』の第5章では、「肉は、環境に唯一最大の影響をもたらす食料」と説明されています。家畜の飼育には大量の水や飼料が必要であること、また反芻動物の牛や羊は温室効果ガスの一つであるメタンを排出することなどが、畜産の環境負荷は大きいとされる所以です。

フレキシタリアンは、環境への負荷を軽減するという点では、ヴィーガンやベジタリアンには及びません。しかし多くの人にとって現実的に実践しやすいのは、フレキシタリアンの柔軟な食生活です。一人当たりの影響力は比較的小さくても、多くの人が今よりも肉食を減らせれば、全体としては大きな影響を生み出せます。

私自身も、しばらく前から肉食を減らすように心掛けています。消費者の間で危機感が高まれば、供給側の取り組みの変化につながります。SDGsの開始から5年目となる2020年、食の持続可能性がどのような展開を見せるのか、注意深く情報を追っていきたいと思います。

(翻訳者、翻訳コーディネーター/立山美南海)

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