観光産業を通じた環境への取り組み~シンガポールから

2019 / 10 / 1 | 執筆者:EcoNetworks Editor

9月の始め、シンガポールを訪れました。シンガポールの多くの観光施設は環境問題に対する取り組みを積極的に行っています。あくまでもお客さんが楽しむための観光施設ですが、自国の取り組みの紹介や観光客に対する啓発の場にもなっています。

例えばシンガポールにいくつかある動物園では、環境破壊によって多くの動物が絶滅の危惧にあることを、動物の展示と共に、全面に出して説明しています。また、園内のお店では紙のストローが使われていたり、マイボトルに水を入れられる給水器も設置されています。

中心地に人工の木のようなオブジェが立ち並ぶガーデンズバイザベイ。この植物園はエネルギーと水の持続可能な循環を目指して設計されています。木のようなオブジェは雨水の集水、熱の排出、太陽光発電などの機能を担っています。園内ではシンガポール全土から集められた園芸ゴミからバイオマスチップを作って発電を行い、燃やして残った灰も植物の肥料として活用しています。

マーライオンのあるマリーナベイは、Bay(湾)ですが、実は淡水のダム。湾の入り口にあるMarina Barrageという施設で水を堰き止め、湾の水を水の供給や水位の管理に使用しています。Marina BarrageにあるSingapore sustainable galleryというギャラリーは、観光施設として紹介されることはほとんどありませんが、国の環境への取り組みがワンフロアにギュッと詰まった、誰でも入れる無料のギャラリーです。

住民にとって不可欠なインフラ設備や、全ての観光客が当事者であるサステナビリティへの取り組みを、基幹産業の1つである観光業と結びつける無駄のないデザイン。東京23区ほどの小さな国土ながら、というよりは、小さな国だからこそ、様々な工夫があちらこちらにちりばめられているのかもしれません。シンガポールの観光地にはサステナビリティ啓発のヒントが隠れているように感じました。

(翻訳者、翻訳コーディネーター/ Yasuko Sato)

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