気候変動と水問題のつながり

2019 / 9 / 27 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

今年7月、国連水関連機関調整委員会(UN-Water)から、気候変動と水の関係に焦点を当てたPolicy Briefが発表されました。

UN-Water Policy Brief on Climate Change and Water

今回はその中のいくつかの要点を英文表現とともにご紹介したいと思います。

まず最大のポイントは、気候変動と水は切っても切れない関係にあるということ。
具体的には、気候変動によって水サイクルが変動しやすくなり、利用可能な水の量や水需要の予測が難しくなったり、水不足が深刻化したりといった影響が出ています。

そして、Policy Briefにはこうも書かれています:
These impacts disproportionately affect poor and vulnerable communities.
(試訳)こうした影響は、貧しく脆弱なコミュニティに偏っています。

とくに目を引くのがdisproportionately
気候変動の原因を作ってきた先進国ではなく、主に途上国に住む人たちが集中的に影響を受けている現状の不平等感が伝わります。

また、現在の気候対策と水保全の間には見過ごせないトレードオフがあるという点も指摘されています。

たとえば、バイオ燃料は気候変動の緩和策の一つと考えられている一方で、その生産によって水資源が大きく圧迫されている点や、衛生管理施設や排水処理施設から大量の大気汚染物質が放出されている点などが挙げられています。

次の一文が気候変動と水の関係を分かりやすく伝えています:
Water is thus an enabling factor and a limiting factor in human’s ability to mitigate and adapt to climate change.
(試訳)こうしたことから水は、気候変動を緩和し、それに適応するための人間の能力を後押しする要因でもあり、制限する要因でもあるのです。

とくにlimiting factorが十分に考慮されていない状況を踏まえて、気候変動と水の問題に統合的に取り組む新しいアプローチを考えなければならないとまとめられています。

プラスと思われていたものが、別の視点では、あるいは、時と場所を越えて、マイナスに働くこともある。

気候変動も水問題も待ったなしですが、多角的に捉える視点が忘れられていないか、今後の動きも冷静に追っていきたいと思います。

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