Translators in Sustainability
ゲームを通して持続可能な生活を楽しむ
2019年6月、Googleが「A circular Google」を発表し、循環型経済の実現に向けた戦略を明らかにしました。
新たな目標として、下記を掲げています。
Maximize the reuse of finite resources across our operations, products and supply chains and enable others to do the same.
(試訳:当社の事業運営、製品、サプライチェーンの全体で、限りある資源の再利用に最大限取り組み、他の人々も同様に取り組めるように手助けする)
この中で目に留まったのが、enable others to do the sameという部分です。戦略の中で主要領域として掲げる四つの領域の中にも、データセンター、職場、コンシューマーエレクトロニクスに加えて、Enabling othersとあります。
IT業界での存在感はもちろんのこと、一般ユーザーに対しても絶大な影響力を持つGoogle。そんな企業が本気でEnabling others(他者への働きかけ)に取り組めば、世界何億人という人々に対し、影響を与えられることが期待できます。
Enabling othersの取り組みの一つとして挙げられているのが、「Your Plan, Your Planet」というツールです(現時点では日本語版はないようです)。
このツールは、エレン・マッカーサー財団とカリフォルニア科学アカデミーとの共同でGoogleが開発した無料の学習ツールです。「小さな変化がいかに大きな影響を生むか」を、ゲームを通して伝えることを目的としています。
ゲームは、エネルギー、食べ物、水、モノの四つのテーマに分かれています。2018年にリリースされた当初は、エネルギー、食べ物、水の三つのみでしたが、2019年、地球の日(Earth Day)を記念して「モノ」が加えられました。
ゲームでは、自分の生活に関する簡単な質問やクイズに答えていきます。
たとえば、「水」のページでは、普段のシャワー時間を聞かれます。画面に表示されるダイヤルを「10分」に合わせてみると、「1年間でバスタブ31杯分相当」と出てきます。このように自分自身の日常生活の結果が数字で表されると、世界全体の問題を、より自分ごととして捉えやすくなります。
ゲームには、持続可能な生活を送るための具体的なtips(コツ)が散りばめられています。よく耳にするものもありますが、「知らなかった!」というものもあります。
そして最後には、pledges(宣言)を登録します。こちらもなかなかユニークです。
たとえば、Fashion Friday。毎週金曜日に、しばらく着ていなかった服を着ましょう、そして、そのまま持っておくのか、あるいは古着屋に売るのか、寄付するのかなどを決めてしまいましょうというものです。ゲームはGoogleカレンダーに紐づけられており、宣言がリマインドされるように設定することもできます。
ゲーミフィケーションを活用して、一般ユーザーの意識を変えようとする「Your Plan, Your Planet」。最近ではポケモンGOがスポーツ庁の認定アプリになるなど、ゲームが人の行動に与える影響は侮れません。
巨大企業Googleの「Enabling others」の取り組みが今後どのような結果を生み出すのか、引き続き注目していきたいです。
(翻訳者、翻訳コーディネーター/立山美南海)
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ゲーミフィケーション(gamification)…「楽しい」などのゲームの要素を、ゲームそのものが本来の目的ではないサービスなどに応用すること。