「自分ごと」としての生物多様性

2019 / 5 / 27 | 執筆者:EcoNetworks


5月22日は国際生物多様性の日(International Day for Biological Diversity)。2019年のテーマはOur Biodiversity, Our Food, Our Health生物多様性と食と健康)でした。

異常気象やプラスチックの問題など、身近に実感できる問題と異なり、生物多様性は自分ごとと捉えるのが少し難しいような気がしています。生物多様性の重要性をいくら知識として詰め込んだところで、遠い土地に住む見たこともない生物と自分のつながりを実感することは容易ではありません。私は家庭菜園で野菜を作っているので、まずは身近な菜園から生物多様性を考えてみました。

夏、かぼちゃの花が咲くと、虫たちが受粉をしてくれます。虫が来ないと受粉せず実がならないので、確実に実らせるために人工授粉をすることもできますが、だいたい放っておいても実ります。かぼちゃを食べられるのは、その辺の草むらにいるような小さな虫のおかげとも言えます。自然は実によくできていると思わずにはいられません。

かぼちゃに限らず、「人間が栽培している農作物約1500種のうち、約3割から7割が動物の受粉に頼っている」<井田徹治『生物多様性とは何か』(岩波新書、2010)14ページ>といいます。例えばこうした虫の受粉のように、生物や生態系が人間にもたらしてくれる「自然の恵み」が「生態系サービス」であり 、「生物多様性が人間にとって大切なのは、生物が人間に提供してくれる多様な自然の恵み、つまり生態系サービスがあるからに他ならない」のです。(前掲書、15ページ)。

虫だけではありません。雑草という「厄介者」でさえ、微生物などの力で土に戻り、作物の栄養となって、私たちの食べる作物になっています。作物を育てていて思うのは、人間が関与できることは、ほんとうにごくわずかだということです。「育てる」というより、作物が自然の力で「育つ」という側面が大きいと感じます。私たちは、自分たちが思っている以上に、生態系の微妙なバランスに依存しています。ひとつひとつの生き物や植物と、私たちの食べるものは、確実に繫がっています。

生物多様性を守ることが紛れもなく私たち人類の存続に直接的に関わる「自分ごと」の課題であることを、一人でも多くの人が実感できる。そのような身近な活動や取り組みが進んでいくことを願っています。

(翻訳者、翻訳コーディネーター/ Yasuko Sato)

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