ガラスの天井をつくるのは

2019 / 4 / 26 | 執筆者:Yukiko Mizuno

トランプ大統領が任期3年目を迎えた今年、米国ではすでに2020年大統領選に向けた動きが始まり、野党・民主党の候補者指名争いでは女性の立候補が相次いでいます。

米国メディアの女性候補に関する記事で、likabilityという単語が目に止まりました。女性候補者の支持には、likability(好感度、好ましさ)が大きく影響するという指摘です。米国ラトガース大学の米国女性と政治センターが2016年大統領選の後に発表した報告書でも、誠実さと好感度について、有権者は男性よりも女性に厳しい基準を要求するという結果が出ています。

大統領を目指す人はみな野心的で、自説を貫き、はっきりと思いを述べます。討論で声を荒らげたり、腹を立てたりすることもあります。そうしたふるまいが一般的に「女性はこうあるべき」と考えられる姿と一致しないために、無意識のジェンダー・バイアスが働くことがあると、米経済誌フォーブスの記事は指摘しています。例えば、野心的であることは、候補者が男性であれば「要職への覚悟」として好意的に受け取られるのに、女性だと好感度が下がる、というわけです。

こうしたバイアスは民間企業でも見られます。明確な主張や説得力、野心は、男性ではリーダーシップの素質として好意的に受け取られるのに対して、女性の場合には、bossy(態度が大きい)と見られ、それゆえに好感を持たれないことがあります。

男女平等がさまざまな面で日本よりも進んでいる米国でも、こうした無意識のバイアスによってつくられるガラスの天井がまだ残っています。しかし、今回の民主党の候補者指名争いのように、トップを目指す女性がどんどん出てくれば、そうした女性の存在が当たり前になっていけば、徐々に人々の心からバイアスが消えていくかもしれません。大統領選挙をめぐる報道を追う際には、こうした点にも注目したいと思います。

もう一つ忘れてはならないのは、無意識のジェンダー・バイアスは、自分が生まれ育った社会の影響を受けて、男性だけでなく女性も持っているものだということ。何かを見たり、選んだりするときに、気付かずにバイアスをかけていないか、自問することが大切です。

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