Just transition のための決断と対話

2019 / 2 / 27 | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi


Just Transition: A Business Guide
From the Just Transition Centre and the B Team

COP24で大きな注目を集めた「 Just Transition(公正な移行)」。ポーランド大統領が提案したCOP宣言はその名も「連帯と公正な移行のためのシレジア宣言(Solidarity and Just Transition Silesia Declaration)」。この言葉は、今後の気候対策の方向性を表す明確なキーワードとなりました。

国際労働組合総連合(ITUC)の「公正な移行センター」と非営利団体The B Teamが発表した企業のためのガイドブックで、この言葉にまつわる動きを知ることができます。

まず、国際社会での重要性について、

「公正な移行」は、国連ILOの国際ガイドラインで、パリ協定が求める気候対策を進める上で重要な要件と定められている。労使および労働組合による社会対話(social dialogue)は、その基盤であり、OECD多国籍企業行動指針の重要な部分である。投資家は、TCFDCDPといったイニシアチブを通じて、公正な移行を進める上でのあらゆる分野のビジネスにおけるリスクと機会を包括的に開示するよう、企業に求めている。

とし、気候対策は労働者の人権に深く関わると同時に、的確に移行のリスクに対処し新たな機会をとらえる事業戦略が求められる状況となっています。

そして、国や地域レベル、企業レベルで公正な移行が進んでゆく姿を描いています。

◆ 国や地域では、経済圏全体で以下を実現する計画や方針が策定され投資が生まれる
・あらゆる仕事がグリーンで働きがいのあるものになる
・温室効果ガスの排出は実質ゼロ
・貧困は撲滅され、活気にあふれたレジリアントな地域社会

◆ 企業は、全社的に以下を目標とし、排出削減の取り組みを計画、実施する
・労使および労働組合での社会対話に基づいた自社の排出削減
・労働者や地域社会のための良い影響が最大となる
・企業が低炭素への移行でのビジネス機会を捉えられる
・資源生産性を向上させ、雇用を維持し改善する
・取り組みにはサプライチェーンも対象とする

事例として紹介されていたのは、研修や教育を用意し、労働者の雇用されうる能力(employability)を高めながら、労使での対話の中で最善策を模索する企業です。

若年の労働者への技術や知識移転を促す徒弟制度(apprenticeship)、高齢の労働者への早期年金給付、エネルギー部門の国際的な労働組合との合意などを進めるイタリアの多国籍企業エネル。

2015年英国に風力タービン製造施設を立ち上げ、新たな雇用を生み出し、新社会人が再エネ部門へのキャリアパスに移行できるよう2年間の研修プログラムを準備するドイツのシーメンス。

豪州政府から発電所維持を要求されるなか、2022年までに石炭火力発電所を封鎖することを宣言、労働組合と緊密に対話し、そこで働く全従業員を用途変更した工場で採用する、近隣の工場に異動する、希望退職を募るといった計画を打ち立てたAGLエネルギー。

迅速な決断も重要ですが、十分な対話の時間が確保されたからこそ、経験したことのない変化に伴う痛みを軽減できることが伺えます。

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