インパクトのある表現 fuel「火を付ける」「あおる」

2018 / 11 / 26 | 執筆者:山本 香 Kaori Yamamoto

Photo by Adam Vogel

ある企業のガバナンス関連の文章で、翻訳者が訳した英文に目を引く表現を見つけました。

(原文)取締役による健全で活発な議論
(訳文)healthy, lively debate fueled by directors

fuelは、動詞では「燃料を注ぐ」という意味が広く知られていますが、英英辞典を見ると、To support or stimulate the activity or existence of (American Heritage Dictionaryより引用)という定義もあります。

また英和辞典には、「たきつける」「火を付ける」「あおる」など、fuelから連想しやすい表現が並んでいます。

上記の文のようにdebateと合わせて使うと、それこそ、その場の熱量が伝わるようで、文脈にピッタリだと感じました。

このfuel、他にはどのような使われ方をしているのだろうと調べてみたところ、次の文章を見つけました。

 ”No one can solve the problem of plastic pollution alone, but together we will fuel global change”
(試訳)「プラスチック汚染の問題は一人では解決できないが、力を合わせれば世界的な変化に火を付けられるだろう」

国連環境計画がプラスチック汚染のプラットフォーム発足を発表した際の事務局長の挨拶にある一節です。

この場合のfuelの代案のひとつとしてpromoteも考えられますが、上記の文脈のように、これから大きく変えていこうと力強く訴えたい場面では、やはりfuelの方がインパクトがあり、その先の広がりがイメージしやすいでしょう。

全体のトーンに溶け込む表現でそろえるばかりではなく、こうした際立つ表現を上手く使いこなせると、さらに効果的なコミュニケーションにつながります。

加減がとても難しいところではありますが、自分の表現の引き出しを充実させるとともに、原文執筆者の意図を注意深く感じ取る力もつけて、より良いご提案ができるように努めていきます。

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